2018 Fiscal Year Research-status Report
肺炎球菌感染と歯周病原細菌ヌクレアーゼの相互作用の解析
Project/Area Number |
17K11628
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
深町 はるか 昭和大学, 歯学部, 助教 (10433799)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / ヌクレアーゼ / 肺炎球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎は、日本において死因別死亡率で第3位を占める感染症である。肺炎の主要な原因細菌は肺炎球菌であるが、肺炎の検体から口腔内の歯周病原性菌の検出頻度が高いことが報告されている。しかしながら、肺炎感染において歯周病原細菌が共作用した場合の病原因子は明らかとなっていない。そこで、本研究では、肺炎球菌感染における歯周病原細菌の役割を解明するために、歯周病原細菌の産生する物質に着目し、肺炎球菌の病態(感染成立や病巣の拡大・増悪)における相互作用を解明する。申請者らがこれまでに歯周病原細菌のnucleaseが感染成立に重要な病原因子であることを同定した。この歯周病原細菌の産生するnucleaseが肺炎の病態形成に果たす役割を培養細胞系およびマウス肺炎球菌感染モデルを用いて解明する。 平成30年度は、培養細胞系を用いて、歯周病原細菌Prevotella intermediaの産生するnucleaseによる肺炎球菌の感染への影響と宿主自然免疫システムの1つである好中球細胞外トラップ(NETs)の分解産物による自然免疫系細胞への影響を解明した。自然免疫系の細胞を用いた実験では、マウス由来のマクロファージ用細胞RAW264.7細胞に肺炎球菌とおよびP. intermedia細菌培養液あるいは精製したnuclease組換えタンパク質を共作用させ、RAW細胞からの炎症性サイトカイン産生量と貪食能の変化を観察したところ、共作用させることで炎症性サイトカインの発現は有意に上昇することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度に産前産後休暇、育児休暇を取得したため、当初の予定から1年遅れて計画を進行しているため、申請時の計画からは遅れている。今年度は、平成29年度に実施予定であった培養細胞系を用いて、歯周病原細菌Prevotella intermediaの産生するnucleaseによる肺炎球菌の感染への影響と宿主自然免疫システムの1つである好中球細胞外トラップ(NETs)の分解産物による自然免疫系細胞への影響を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年に引き続き、培養細胞系を用いて、P. intermedia nucleaseによる肺炎球菌の感染への影響とNETs分解産物の上皮細胞への影響を解明する。今年度は、マウスモデルを用いて、肺炎球菌感染時の肺炎球菌レセプターの発現量や、そのアンタゴニストを用いて感染への影響を評価する。 肺炎球菌に加えて、肺炎の原因菌の一つであるKlebsiella pneumoniaeについても同様の検討を行う。 また、本学で無菌マウスの飼育が可能になったため、無菌マウスに肺炎原因細菌の単独感染およびnucleaseを作用させた時の生存率等を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度の研究内容のうち、自然免疫系細胞を用いた実験に想定よりも時間を要したことにより、当初予定していた上皮細胞系の実験の一部が行えなかったため、次年度使用額が生じた。これらの実験については、次年度使用額を合わせた助成金を用いて、平成31年度に行う予定である。
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