2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of multirooted tooth formation for tooth regenerative therapy
Project/Area Number |
17K11629
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 仁 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80265165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 昂 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10772288)
北村 啓 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90792367)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 多根歯 / 歯胚 / 上皮性根間突起 / Hertwig上皮鞘 / 象牙芽細胞 / 知覚受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの臼歯は髄下葉という硬組織の形成を伴って多根化が生じることが知られているが、これまでの歯の形態形成研究は歯冠部の形成に関する研究が多く、その実験的な利点からマウスが使用されることが多かった。しかしこの髄下葉はマウスの多根歯形成の際には観察されない構造である。そこでヒトと同様に髄下葉の形成を伴った多根化が生じるラットに着目し、かつ根分岐部の領域が大きい上顎第二臼歯を用いて髄下葉形成に関する観察を実施した。昨年までの研究で、髄下葉は歯冠象牙質や歯根象牙質の形成と同様に歯胚の歯乳頭細胞から分化した象牙芽細胞から形成されることが明らかとなった。しかし歯冠象牙質形成や歯根象牙質形成にかかわる象牙芽細胞と髄下葉形成にかかわる象牙芽細胞の分化が同じように起こるのかについて、抗Shh抗体を用いた免疫染色を行ったところ歯乳頭細胞から象牙芽細胞への分化過程での染色動態は、歯冠象牙質や歯根象牙質形成に働く象牙芽細胞と髄下葉形成に働く象牙芽細胞で同様の結果を示した。この結果から髄下葉形成に働く象牙芽細胞の細胞分化も、歯冠象牙質や歯根象牙質を形成する象牙芽細胞の分化と同様な過程を経ることが示唆された。一方象牙芽細胞の機能として象牙質形成以外に知覚の受容が考えられている。象牙芽細胞の知覚受容機能にtransient receptor potential (TRP)チャネルやPannexin-1(PANX-1)チャネルが関連していることが報告されている。根分岐部は歯周組織内に存在することから感覚受容の必然性は無い部分であるが、ほかの部位の象牙芽細胞同様に知覚機能をもつかについて、まず歯冠部の象牙芽細胞分化と知覚機能獲得の関連性について検索した。その結果歯冠部の象牙芽細胞に知覚受容能は象牙質形成能よりも遅れて出現することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
形態学的あるいは免疫組織化学的な研究は進んでいるが、分子生物学的な研究に遅れがある。RT-qPCRについてはデータを得ることができたが、歯胚周囲の顎骨内結合組織をレーザーマイクロダイセクション法を用いて採取し、発現する遺伝子についての検索が進んでいない。昨年度の失敗から温度管理と試料採取からDNA抽出までの時間的条件についてさまざまな条件設定を試みており、次年度に繋げたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
多根歯形成に関与する歯胚を取り巻く顎骨内微細環境の解析として、歯胚周囲の顎骨内の結合組織の採取と発現遺伝子の解析を行いたい。ただしこの検索はこれまでの2年間でうまくいっていない分野であるので、その進捗状態を勘案しながら、比較的進んでいる分野である髄下葉の形態学的な観察や、上皮性根間突起の成長過程の解析を中心に行っていく。また象牙芽細胞の機能の解析として、髄下葉形成象牙芽細胞における知覚受容能についての検索も並行して実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度は実験補助に対する謝金と文献複写代が生じず、また旅費に対する支出が生じなかった。さらに物品費の使用が予定よりも少額だったために生じたものである。原因としては分子生物学的な実験としてのレーザーマイクロダイセクション法による試料の収集がうまくいかなかったこと、それに対する学会発表の機会が減少したことに起因している。次年度は分子学的検索を行う一方形態学的検索をさらに充実させるので、物品費、実験補助に対する人件費に関わる支出が多くなる予定である。また得られたデータについては逐次学会発表を行う予定なので、次年度使用額の一部は旅費に用いる予定である。
|
Research Products
(4 results)