2019 Fiscal Year Research-status Report
微小循環を指標とした数値simulationによる歯周組織再生療法評価法の確立
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17K11632
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30190416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60206810)
永山 勝也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70363398)
東 雅啓 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (70707348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血管注入鋳型標本 / レーザードップラー血流測定 / 粒子シミュレーション / 走査型電子顕微鏡 / 歯周組織再生療法 / インプラント周囲組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織再生やインプラント周囲の骨形成とリモデリングに関して微小循環に焦点をあて形態学的な研究を続けてきた。我々独自の技術である血管鋳型法は血管内に低粘度合成樹脂を注入し組織微細血管構築を電子顕微鏡(SEM)で観察する方法である。歯科モデルとして歯を抜去した抜歯窩の血管鋳型標本では、抜歯後14日には周囲既存骨から著しい新生血管が生じる。この新生血管は時間を追うごとに分岐を繰り返し、一塊の血管網となる。この血管網の基部から骨添加が行われ、正常な組織へと修復が行われる。本研究では、この過程で行われる微小循環の経時的再生過程をSEM画像を元に、工学的情報処理技術である粒子シミュレーション技術を用いて数値シミュレーションし、新たな再生療法の効果が評価できる指標の作製に取り組んでいる。 方法として(1)血管注入鋳型標本の走査型電子顕微鏡(SEM)像からは微細血管構築と再生に伴う血管新生と硬組織の関連性が三次元的に観察される。これは、造影剤を注入したCT像より微細な血管構築や径の変化を知ることが可能で血流に関連した組織再生研究に大きな伸展が期待される。(2)免疫染色による血管内皮細胞の変化を同一の試料から得ることで細胞学的な変化の確証を得ることが可能となる事が期待される。(3)レーザードップラー血流計で得られた血流量と速度を測定することで循環動態を捉えることが可能となる。(4)粒子シミュレーションという情報工学的手法を用いることで組織変化の予測を客観的に究明できることは、より明確な医療の質の向上に貢献すると思われる。 血管鋳型法を用いて微小循環を毛細血管レベルまで完全に観察する血管鋳型法に情報工学の数値シミュレーション技術を併用することで、微小循環変化の客観的な予測が可能となる。本法を用いることで微小循環を指標とした再生医療や創薬の分野での新たな評価法を確立する事を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は論文2稿と学会発表5題を実現することが出来た。ゆえにおおむね順調に伸展していると考えている。しかし分析に必要な元素分析装置の納入が約半年間遅れたため、電子顕顕微鏡データはあるもののその分析データの収集に時間がかかっている。現在は進行中であるので早急にデータ分析へと早急に移行することが可能である。 また、これまでの内容を3月の国内学会ならびに国際学会にて発表予定であったが、新型コロナウィルスの影響で学会が延期・中止となり発表の場が失われてしまった。次年度後半に開催される学会にて近似領域の研究者や異種領域の研究者とディスカッションして研究のベクトルを定めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗状況をふまえ、研究の推進を行う。血管構築や組織標本という形態学的な研究法と血流計測という機能的な研究法を二方向から行う分野横断型の研究方法を進めたい。数値シミュレーションにより生物学的なデータから解析を行い組織再生療法を予測し、評価することが出来る今までにない独創的な研究である。本研究により得られた結果を再生医療の効果予測を数値シミュレーションにより推測できるようにする。生命科学の分野で分断されてきた基礎研究と臨床応用、形態学と機能学、それに加えて医工連携の中でもとくに密接に連携すべき情報工学の研究手法を統合する。すなわち、治療や薬剤の効果予測や症例の選択など、効率的な再生医療へ貢献が期待される方向へとまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウィルスの影響で3月に行われる国際学会1と国内学会2が中止または延期になってしまった。延期になった学会は次年度分で使用させて頂くことにする予定。また、納入が遅れていた分析機器が使用出来るようになったので試料の作製と観察データ分析・整理を次年度行う予定です。
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