2020 Fiscal Year Research-status Report
微小循環を指標とした数値simulationによる歯周組織再生療法評価法の確立
Project/Area Number |
17K11632
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30190416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60206810)
永山 勝也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70363398)
東 雅啓 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (70707348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯周組織 / 微小循環 / 組織再生 / 再生医療 / 数値シミュレーション / コンピューターシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療の領域では医学と工学の連携が盛んに行われている。コンピューターを用いた数値シミュレーションは、治療や薬剤の効果を予測する上で興味深い手法の一つである。我々は本研究において抜歯窩の再生モデルを例にとり、血管新生と骨再生のメカニズムについて解析した。血管新生とCa輸送モデルを考慮した工学的な新しい視点から、骨と血管の連成成長過程について検討した。さらに,骨形成に関する成長因子を考慮した反応拡散系モデルを用いて,歯槽骨形成の解析結果と画像データとの比較・検証も行なった。 歯槽骨再生と血管新生の相互作用による現象について粒子モデルを用いて検討した。粒子モデルは注目粒子を中心に探索範囲内にある粒子を選択し,2粒子間の相互計算を行う方法である。そのため,複雑な連成現象を解析しやすい特徴を有する。今回は,①血管新生モデル、②Ca輸送モデル、③骨形成モデルの3つの解析を行なった。 血管新生モデルとして,3次元領域に動脈上にある血管の起点と誘因物質となる血餅を粒子で配置する。ここで,動脈から新生した血管は,周囲の血餅に影響して形成されると仮定した.探索範囲に血餅がなくなると血管の伸長は停滞し、時間の経過とともに血管が内部に分岐、伸展した。 Ca輸送モデルでは血管から輸送されるCaがどのように組織中に拡散されるかをシミュレーションした。同時に骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞についても考慮した。Caは骨の沈着・形成や溶解・吸収を行いながら絶えず体内を移動することを示した。骨形成モデルでは骨形成を促す骨芽細胞 と骨形成を抑制し骨吸収を促す破骨細胞 による拡散係数 で与えた反応拡散系モデルを示した。 本研究では,Ca輸送を考慮した骨形成と血管新生の複雑な現象を可視化するためコンピューターシミュレーションによる連成解析を行なった結果,血管新生は3次元上に伸長・分岐しながら血管網の形成を行う事が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体はほぼ終了し最終的な発表の段階にある。しかしCovid-19の影響で国外・国内とも学会の中止・延期により成果の発表が遅れていた。昨年後半から各学会ともオンラインシステムによる発表・討論が整えられてきたのでその点を鑑みておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究を行っている課題についてはほぼ終了している。今後、抜歯窩の骨再生から歯周組織再生療法の骨再生と微小循環やインプラントに関するデータを推進していく予定である。また、薬剤や生体材料の効果の検証についても、本課題によって研究の道筋が立てられたと考えているのでさらに発展させることが期待される。
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Causes of Carryover |
Covid-19による学術集会の延期・中止が続き国際・国内学会において発表並びに討論することが難しかった。国際・国内学会ともにオンライン学会の準備が整ってきたので次年度において発表、討論を行う予定である。また、共同研究者との打ち合わせも機会をみて行う予定である。
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