2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the regulatory mechanisms of Prg4 expression by the formation of the transcriptional complex including Irx3 on its promoter
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17K11636
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉村 禎宏 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (70431963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Irx3 / Prg4 / 関節軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
Prg4は関節軟骨の潤滑に重要な役割をもち、変形性関節症の病態進行を抑制する因子として注目されるが、その遺伝子発現調節機構は不明な点が多い。我々は、これまでに転写調節因子Irx3に着目し、初期および後期軟骨細胞分化における機能を解析してきたが、今回関節軟骨におけるIrx3とPrg4発現調節機構に関して着目した。まず、免疫蛍光二重染色により、Irx3とPrg4が関節軟骨表層細胞において共発現することを確認した。次に、Prg4発現に対するIrx3の役割を調べるためにC3H10T1/2細胞にIrx3を過剰発現させたところ、TGFb1によるPrg4発現誘導を相乗的に上昇させた。さらに、Irx3とTGFb1にノックアウトマウスの表現型から変形性関節症との関連が注目される遺伝子Nfatc2を共発現させるとさらにPrg4発現の上昇が促進された。以上の結果より、Prg4発現調節におけるTGFbシグナル、Irx3、およびNfatc2の相互作用が予想された。また、我々は、TGFbシグナル伝達因子のうちSmad3がPrg4発現に関係することを見出した。そこで、Irx3、Smad3、およびNfatc2間の複合体形成を免疫沈降法により調べたところ、それぞれの分子間における結合が確認された。さらに、Irx3およびNfatc2は、それぞれ単独ではPrg4発現誘導作用がないことが判明した。以上の結果から、Prg4遺伝子プロモーター上のSmad3結合部位に、Smad3、Irx3、およびNfatc2が複合体を形成して結合し、Prg4発現を調節することが予想された。今後は、まず予備実験として、C3H10T1/2細胞におけるTGFb1の標的遺伝子に対するSmad3抗体を用いたChIPアッセイを行い、実験系が確立した後にSmad3抗体を用いたPrg4遺伝子発現調節領域に対するChIP-Seqを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ChIP-seqは受託試験として依頼するため費用がかかることが予想される。従って、用いる抗体の性能の評価や免疫沈降の条件検討を十分に行う必要がある。これらの予備実験としてSmad3標的遺伝子に対するChIPアッセイを行い、Smad3抗体の評価を行っていたが、この実験に時間を要し、研究課題の実施がやや遅れていると判断された。また、研究代表者が研究室を移動となり、実験環境のセットアップに時間がかかったことも理由のひとつである。次年度には、ChIPアッセイの予備実験を終わらせ、出来るだけ早くChIP-seqを行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Smad3抗体を用いたChIP-seqが困難である場合、タグを付加したSmad3を発現させ、タグ抗体を用いたChIP-seqを行うことも検討する。また、Prg4転写開始上流領域におけるSmad結合部位をWEBから調べ、これらの配列を人工遺伝子合成によりレポーター遺伝子に組み込み、レポーターアッセイを行うことによって、Smad結合部位を同定する方法も検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に行う受託研究は費用がかかるため予備実験を入念に行ったことや、研究代表者の研究室移動に伴い実験系の立ち上げに時間を要したことなどから、当該年度の予算が余ることとなった。次年度は、予備実験ならびに受託研究を行うために、当該年度の予算も合わせて使用する。
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Research Products
(2 results)