2019 Fiscal Year Annual Research Report
The underlying mechanisms of taste and olfactory impairments in Parkinson's disease model mice
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17K11640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 元 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (10432452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 味覚 / 嗅覚 / 嗅球 / 孤束核 / 島皮質 / パーキンソン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、ロテノン鼻腔内投与マウスが、嗅覚や味覚障害といった非運動障害を呈するパーキンソン病モデル動物として有用かどうかについて検討してきた。その結果、ロテノンを1週間鼻腔内へ連続投与したマウスは、神経変性が進行する過程で嗅覚や味覚障害を呈することが、行動学的および免疫組織学的実験から明らかとなった。このことから、ロテノン鼻腔内投与マウスはパーキンソン病における前駆症状モデル動物として、嗅覚や味覚障害の発症機構解明に有用であることが示唆された。本年度は、モデル動物における嗅覚と味覚障害の発症機構の詳細を明らかにするため、電気生理学的手法を用いて以下の実験を行った。まず、ロテノン鼻腔内投与動物に発症した嗅覚障害に嗅覚の末梢性障害が関与しているか否かを調べる目的で、マウス嗅粘膜から匂い刺激に対するElectro olfactogram (EOG)記録を行った。その結果、ロテノン鼻腔内投与動物における嗅粘膜からの神経応答を記録することができた。神経応答の振幅にばらつきが認められたが、抗甲状腺治療薬であるメチマゾールを腹腔内投与したマウスを用いた対照実験では、匂い刺激に対する神経応答は全く認められなかった事から、ロテノン投与動物の末梢性嗅覚機能の大部分は保持されていることが明らかとなった。次に、ロテノン鼻腔内投与動物に発症した味覚障害に味覚の末梢性障害が関与しているか否かを調べる目的で、マウスの鼓索神経を剖出し、味刺激に対する鼓索神経からの神経応答を記録した。その結果、味刺激に対するマウスの鼓索神経からの神経応答を観察でき、ロテノン投与動物の末梢性味覚機能の大部分は保持されていることが明らかとなった。以上のことから、ロテノン鼻腔内投与マウスに誘発された嗅覚/味覚障害は、嗅覚/味覚に関与する中枢領域の器質的あるいは機能的障害が関与している可能性が示唆された。
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