2018 Fiscal Year Research-status Report
アイソフォーム特異的な新たなJNKシグナル制御機構の解明
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17K11646
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10303629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 智和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (30244247)
楠山 譲二 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70596105)
柿元 協子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40274849)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / 細胞分化 / 骨芽細胞 / JNK / ホスファターゼ / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前JNKが骨芽細胞後期分化に必須であることを証明した(Matsuguchi et al. J.Bone Miner. Res.2009)が、その分子機構についてより詳細な解析を行った。JNKの特異的阻害薬であるSP600125存在下に骨芽細胞株MC3T3-E1 および初代細胞マウス骨芽細胞を、アスコルビン酸もしくはBMP2にて骨芽細胞分化誘導をかけたところ、分化誘導様式に関われず、通常分化に比べて、オステオポンチンを強発現し、逆に骨芽細胞分化後期に特異的なオステオカルシンの発現量の低いタイプの骨芽細胞分化が誘導された。次にその分子機構についてマイクロアレイを用いて解析を進めたところ、JNK阻害によって、glycoprotein hormone α2 やendothelial cell-specific molecule 1などと共に、転写調節因子であるId4の発現が上昇していた。また、siRNAによる遺伝子ノックダウンを用いた解析などにより、Id4がJNK不活性化によるオステオポンチンの発現上昇に重要な働きをすることが明らかになった。この結果は、生化学の国際的ジャーナルであるFASEB Journalに発表した。 また、JNK特異的フォスファターゼであるDusp16によるJNKアイソフォームのタンパク発現量の調節について解析を進め、マウス胎仔性線維芽細胞(MEF)および骨芽細胞において、低酸素状態でDusp16の発現が上昇し、JNK2アイソフォームのタンパク発現量の低下と、JNK1アイソフォームの発現量の上昇を認めた。現在、低酸素によるDusp16発現調節のメカニズムと、JNKアイソフォーム毎のタンパク発現量調節におけるDusp16タンパクの役割についてより詳しい解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAPキナーゼの1種であり重要な細胞内シグナル伝達分子であるJNKの骨芽細胞分化における機能的役割について解析を進め、JNK活性の抑制によってId4の発現が上昇し、それを介してオステオポンチン発現上昇と、オステオカルシン発現に代表される後期骨芽細胞分化のプロセスの抑制が誘導されることを初めて示した。これはJNKが骨再生治療における重要な標的分子となりうる可能性を示唆している。また、これらの結果は、生化学の国際的ジャーナルに発表した。 また、低酸素状態がJNKアイソフォーム間のタンパク発現量の比率に影響を与えることを示し、それがJNK特異的フォスファターゼであるDusp16の発現量増加によって誘導される可能性を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マウス各臓器、組織におけるJNK1/2アイソフォームのmRNAおよびタンパク発現レベルを網羅的に解析し、それに関わるDUSP16の役割を、主にDUSP16 KOマウスを用いた解析で明らかにする。。 2)2018年度における研究結果に基づき、低酸素状態の細胞内におけるDUSP16によるJNKのタンパク発現レベルのアイソフォーム特異的な調節機構を、分子レベルで明らかにする。 3)DUSP16 KOマウスに見られる骨格異常を詳細に調べ、その原因を解析するこで、DUSP16-JNK 路の骨格形成における生理的役割を明らかにする。 4)DUSP16 KOマウスにおける自然免疫 答を調べ、野生型マウスとの違いが認められたものについて、その原因となった細胞の種類とDUSP16-JNKシグナル経路の役割を明らかにする。 5)高カロリー食栄養下でのDUSP16 KOマウスにおける糖質代謝の変化を調べ、野生型マウスとの違いが認められたものについて、その原因を明らかにする。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] JNK inactivation suppresses osteogenic differentiation, but robustly induces osteopontin expression in osteoblasts through the induction of inhibitor of DNA binding protein 4 (Id4).2019
Author(s)
Kusuyama J, Amir MS, Albertson BG, Bandow K, Ohnishi T, Nakamura T, Noguchi K, Shima K, Semba I, Matsuguchi T.
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Journal Title
FASEB Journal
Volume: 33
Pages: 7331-7347
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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