2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K11654
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 教授 (60160115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 博 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20155774)
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔乾燥 / 痛覚過敏 / TRPV4 / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレンをはじめとする様々な原因により口腔粘膜が乾燥すると,口腔感覚の機能異常が誘導されることが知られている。特に,口腔に疼痛が発症すると,痛みにより咀嚼嚥下運動が障害されることから,QOLは著しく低下する。このような口腔乾燥に起因する口腔の異常疼痛は,その発症メカニズムが不明であることから,適確な治療がなされていないのが現状である。口腔乾燥モデルラットを作製し,末梢神経系にターゲットを絞って,神経終末部における口腔粘膜細胞と神経終末部の機能連関および三叉神経節細胞の機能変化について解析を行い,口腔乾燥に起因する口腔の異常疼痛発症機構の解明を目的とする。 舌乾燥モデルは舌を7日間(毎日2時間),2%イソフルラン麻酔下で空気中に放置することによって作製した。shamモデルは舌を7日間(毎日2時間)2%イソフルラン麻酔のみを施行した。イソフルランによる浅麻酔下にて、舌乾燥開始から14日目までflap-tip forceps を用いて舌に機械刺激を加え逃避閾値反射を計測したところ、乾燥開始3日目から14日目まで機械刺激に対する逃避閾値反射の低下が見られた。 あらかじめ舌に逆行性トレーサーである0.3% Fluorogold(FG)を投与し,舌投射三叉神経節ニューロンをFGにて標識した。舌乾燥開始後7日目,三叉神経節を摘出し免疫組織化学的手法を用いてFG標識TRPV1およびTRPV4陽性細胞数の変化を解析した。FG標識TRPV1陽性細胞数に変化は見られなかったがTRPV4陽性細胞数が有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、交付申請書に記載した「研究の目的」に沿っておおむね順調に研究が進んでいる。また関連論文として、Phosphorylation of p38 in Trigeminal Ganglion Neurons Contributes to Tongue Heat Hypersensitivity in Mice.J Oral Facial Pain Headache.2017を発表した。舌への機械刺激に対する逃避閾値の計測は,浅麻酔下にて行う。本講座では顎顔面領域における機械的および熱刺激に対する逃避閾値の計測に関して,浅麻酔下にて頭板状筋の筋活動を指標とした計測法を確立しており,当講座の多くの大学院生(研究協力者)が計測に熟練しているため効率的に実験を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も交付申請書に記載した「研究の目的」に沿って研究を推進する。 本年度は、三叉神経節細胞に存在する舌投射ニューロンにおけるTRPV4量をWesternblot法にて定量解析する。そのため、ポスドクや研究協力者(大学院生4名)に組織の摘出および前処理の協力を仰ぎ、効率的に発現量の定量解析を進める。さらに、,TRPV4拮抗薬を投与することによって,逃避反射閾値がどのような影響を受けるかについても解析し、実際に痛覚過敏の発症に関与するかどうかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入予定であった試薬が不要になったため、予定より153369円の余剰金が生じた。次年度使用額と平成30年度助成金を合わせて、タンパク定量のための試薬購入に充てる予定である。
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