2018 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive study for the swallowing reflex to treat the dysphagia based on the physiological evidence.
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17K11656
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
北川 純一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50373006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 裕次 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20190366)
安藤 宏 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30312094)
Hossain M.Zakir 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (40792445)
海野 俊平 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80418920)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嚥下反射 / 上喉頭神経 / TRPチャネル / カプサイシン / メントール |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた日本において、多くの高齢者が嚥下機能の低下により、唾液や食物の一部が肺に流れ込み誤嚥性肺炎を引き起こすことが問題となっている。この社会的問題ともいえる嚥下機能の改善を解決するためには、嚥下誘発領域からの嚥下誘発に関与する求心性神経情報を詳細に調べる必要がある。本申請研究は、(1)嚥下誘発における咽頭・喉頭領域を支配するAβ線維、Aδ線維およびC線維を経由する神経情報(感覚入力のモダリティ)の役割、および(2)嚥下誘発に関与するTransient receptor potential (TRP)チャネルを同定することが目的である。さらに、(3)嚥下誘発効果の高い味や食感(テクスチャ)を解明することにより、包括的な生理学的根拠に基づく新たな嚥下障害の治療法および嚥下障害食の開発を検討する。 平成30年度は、免疫組織化学的手法を用いて、咽頭・喉頭領域の感覚を支配する上喉頭神経におけるカプサイシン受容体(TRPV1)およびメントール受容体(TRPM8)の発現分布を調べた。電気生理学的実験により、咽頭・喉頭領域に投与したカプサイシンおよびメントールに対する上喉頭神経応答を記録するとともに、嚥下誘発作用を解析した。さらに、上喉頭神経応答および嚥下誘発へのTRPV1およびTRPM8の関与を確かめるために、それぞれのアンタゴニストを用いた実験も行った。 その結果、上喉頭神経に発現するTRPV1およびTRPM8に対する、カプサイシンおよびメントール刺激は、上喉頭神経の感覚応答を増加させ、嚥下反射を顕著に誘発した。このことは、天然由来であるカプサイシンまたはメントールを利用した嚥下機能の低下を補助的に改善する食品・飲料の開発の可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫組織化学的手法により、上喉頭神経(とりわけ無髄神経)におけるTRPV1およびTRPM8の発現分布を明らかにした。さらに、咽頭・喉頭領域におけるカプサイシンおよびメントール刺激は、TRPV1およびTRPM8を介して上喉頭神経を興奮させることを電気生理学的実験により検証した。これらの結果の一部は、国際論文に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
採択された研究計画書に従って、嚥下誘発効果の高い味や食感(テクスチャ)を解明する。現在、酸感受性チャネル(ASIC)の咽頭・喉頭領域における発現分布と嚥下反射の誘発の関与を調べている。これらの結果を考慮して、包括的な生理学的根拠に基づく新たな嚥下障害の治療法および嚥下障害食の開発について検討する。
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Causes of Carryover |
備品の発注が年度をまたいでしまったため。
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