2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11657
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00422767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
近藤 久貴 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40469002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 糖脂質 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖脂質が骨代謝制御に関与しているのかについて明らかにするため、まず、骨芽細胞および破骨細胞(破骨細胞前駆細胞を含め)における糖脂質の発現プロファイルをフローサイトメトリーを用いて検討した。その結果、骨芽細胞(マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞)では、モノシアリル糖脂質GM1、GD1aおよびグロボ系糖脂質Gb4の発現が認められた。また、MC3T3-E1細胞を成熟な骨芽細胞へ分化誘導させた結果、GM1およびGD1aの発現の低下が認められた。一方、破骨細胞前駆細胞であるマクロファージ(マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞およびマウス骨髄細胞由来のマクロファージ)では、骨芽細胞にも発現していたGM1、GD1aの他にジシアリル糖脂質GD3、GD2、GD1b、GT1bの発現も認められた。しかし、これらの発現はRANKL添加による破骨細胞への分化誘導後には、減弱もしくは消失した。 骨芽細胞で発現が認められたGb4が骨代謝制御に関与しているのかを明らかにするため、Gb4を含めたグロボ系糖脂質が欠損しているGb3合成酵素遺伝子ノックアウトマウスにおける骨表現型をマイクロCTを用いて解析した。その結果、このノックアウトマウスの大腿骨では、野生型と比較して、有意にBV/TV(骨量)の減少が認められた。 以上の結果より、骨芽細胞で発現するGb4が、骨形成促進に関与している可能性が示唆された。 また、alpha 2アドレナリン受容体作動薬であるguanabenz、clonidineおよびxylazineをマクロファージに添加すると、破骨細胞への分化が抑制された。糖脂質は、神経系を制御していることが知られていることより、破骨細胞前駆細胞で発現している糖脂質が細胞膜で、alpha 2アドレナリン受容体を調節することで、破骨細胞への分化を制御している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨芽細胞および破骨細胞(破骨細胞前駆細胞を含め)における糖脂質の発現プロファイルが明らかになった。また、Gb3合成酵素遺伝子ノックアウトマウスでは、野生型と比較して、骨量が低下することが明らかになり、骨芽細胞表面に発現するGb4が、骨芽細胞への分化あるいは増殖に関与する可能性が示唆されているので、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞において、グロボ系糖脂質Gb4が発現し、その糖脂質が欠損しているGb3合成酵素遺伝子ノックアウトマウスでは、野生型と比較して、骨量の低下が認められた。そこで、今後は、このノックアウトマウスでみられた骨量低下が、骨形成低下によるものなのか、もしくは、骨吸収促進によるものなのかを明らかにするとともに、Gb4による骨代謝制御の分子メカニズムを解明したいと考えている。また、骨芽細胞分化誘導の過程で、発現が低下するGM1やGD1aの意義について検討したいと考えている。
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