2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11657
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00422767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
近藤 久貴 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40469002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 糖脂質 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、b系列ガングリオシドと昨年、骨代謝に関与することが示されたグロボ系糖脂質に着目し、それらの糖脂質が骨代謝に及ぼす影響について検討した。まず、骨芽細胞および破骨細胞前駆細胞であるマクロファージにおけるb系列ガングリオシドの発現をフローサイトメトリーを用いて解析した結果、骨芽細胞では発現していなかったが、マクロファージでは発現しており、これらの発現は、RANKLによる破骨細胞分化誘導後には消失もしは減弱した。そこで、マクロファージに発現するb系列ガングリオシドが破骨細胞分化に関与しているのかについて明らかにするため、b系列ガングリオシド合成に必要な糖転移酵素を欠損させたGD3合成酵素遺伝子ノックアウトマウス(GD3S KOマウス)の骨髄由来マクロファージを用いて、破骨細胞分化能を検討した。その結果、野生型とGD3S KOマウス由来のマクロファージの間で、破骨細胞分化能には差が認められなかった。 次に個体レベルでのb系列ガングリオシド欠損による骨代謝への影響を検討するためGD3S KOマウスの骨表現型をマイクロCTを用いて解析した。その結果、15週齢の野生型とGD3S KOマウスの間で、骨量に有意な差は認められなかったが、40週齢のGD3S KOマウスでは、加齢に伴う骨量の減少が野生型マウスと比較して有意に抑制された。また、骨芽細胞数においては、15および40週齢の野生型とGD3S KOマウスの間では差が認められなかったが、破骨細胞数は40週齢のGD3S KOマウスで有意に減少した。 以上の結果より、マウスにおけるb系列ガングリオシドの欠損が破骨細胞数を減少させることで骨吸収を減弱させ、加齢に伴う骨量の減少を抑制することが判明した。 また、昨年度、示されたGb3合成酵素遺伝子欠損による骨量の減少が、骨形成の抑制によることがカルセインを用いた二重標識で明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨芽細胞および破骨細胞(破骨細胞前駆細胞を含め)における糖脂質の発現プロファイルを明らかにした。また、中性糖脂質合成に必要なGb3合成酵素遺伝子ノックアウトマウスでは、野生型と比較して、骨量が低下することが明らかになり、この骨量低下は、骨芽細胞減少による骨形成能の低下によるものであることが示された。 b系列ガングリオシドを欠損させたGD3合成酵素遺伝子ノックアウトマウス(GD3S KOマウス)の解析の結果、b系列ガングリオシドは、直接的作用ではなく、間接的作用により破骨細胞数を制御し、加齢に伴う骨量の減少に関与することが示唆された。以上のことより、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
グロボ系糖脂質Gb4やb系列ガングリオシドが骨芽細胞や破骨細胞(破骨細胞前駆細胞)に直接的もしくは間接的に作用し、骨代謝を制御していることが細胞レベルおよび糖転移酵素遺伝子のノックアウトマウスを用いた実験により示されてきたので、今後は、これらの糖脂質がどのような分子メカニズムで、骨代謝を制御しているのかについて解明したいと考えている。
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