2017 Fiscal Year Research-status Report
上皮ケラチノサイトの上皮間葉転換を制御する分子機構
Project/Area Number |
17K11659
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
八田 光世 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (30344518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 純 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50230397)
内田 邦敏 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (20581135)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子発現 / 上皮-間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、上皮ケラチノサイトの上皮-間葉転換(EMT)においてエピジェネティック制御装置(クロマチン修飾および転写因子複合体)がどのように遺伝子発現パターン変化を制御するのか、さらに口腔癌細胞におけるEMT関連遺伝子の発現異常とエピジェネティック制御装置の変異との関連を明らかにすることである。 本年度は上皮ケラチノサイト(HaCaT)のTGF-βによるEMT誘導モデルを用いて、以下の実験をおこなった。 1. EMTプログラムにより発現変動する遺伝子の同定:コントロールおよびTGF-βによりEMT誘導したHaCaTからRNAを抽出し、qRT-PCRにより発現レベルの変化を解析した。TGF-β誘導EMTによりSNAI2, CDH2, VIMなどのmRNA発現が上昇し、KRT13, CLDN1, TGM1などは発現低下することが明らかになった。SNAI2やKRT13タンパク発現レベルの変化をウエスタンブロットや免疫細胞染色により確認した。 2. 発現変動遺伝子ゲノム領域におけるクロマチン修飾パターンの解析:コントロールおよびTGF-βによりEMT誘導したHaCaTをホルムアルデヒドで固定、さらに超音波破砕して断片化クロマチンを調製した。ヒストン修飾(リジン残基のメチル化やアセチル化など)を認識する抗体、RNAポリメラーゼIIに対する抗体を用いてクロマチン免疫沈降(ChIP)をおこなった。KRT13遺伝子ゲノム領域におけるヒストンの修飾状態と転写開始点付近のRNAポリメラーゼII結合の変化を解析したところ、TGF-β誘導EMTによりヒストンH3リジン残基の修飾パターンが変化しRNAポリメラーゼIIのリクルートが抑制されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は主にTGF-β誘導EMTにおけるKRT13遺伝子抑制機構について解析を進めることができたが、DNAマイクロアレイまたは次世代シーケンスによる網羅的な発現変動遺伝子の同定をおこなうことができなかったため、本年度の実験計画よりやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、DNAマイクロアレイまたは次世代シーケンスによる網羅的な発現解析に向けた準備に着手している。今後、新たな発現変動遺伝子を明らかにし、ゲノム領域のクロマチン修飾パターン・転写因子複合体構成因子について解析を進める。さらに口腔癌細胞におけるEMT関連遺伝子の発現レベルとそのゲノム領域の解析など、次年度の実験計画を推し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりやや遅れている状況のため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は請求した助成金とともにDNAマイクロアレイまたは次世代シーケンスによる網羅的な発現解析を含めた次年度の研究実施計画をおこなう経費として使用する。
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