2020 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線3次元線量分布への歯科用合金の影響解明と分布に影響しないマウスピース開発
Project/Area Number |
17K11664
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
勝良 剛詞 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30283021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 秀之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院, 主幹研究員(定常) (70421823)
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 歯科医師(任常) (00793928)
宇都宮 悟 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50570868)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / 頭頸部放射線治療 / 歯科用金属 / 歯科用スペーサー / 線量強度変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
重粒子線治療は線量分布に優れていることから重要臓器の多い口腔・頭頸部領域の治療に適しており、治療精度向上のための患者固定用マウスピース型スペーサーは必須であり、加えて正常組織を圧排するような形態を付与し有害事象を極力少なくする工夫がされている。しかし、スペーサーによる線量強度変化に関する研究はないことから、スペーサーの素材の違いによる実際の線量強度変化は解明されておらず、現在利用されている水等価厚もあくまで理論値であり実測値から導かれた値ではない。本研究の目的は、市販のスペーサーと歯科用合金の材質の違いによる線量強度への影響を明らかにすることである。歯科用金属として金合金(Au)、金銀パラジウム合金(Au-Ag-Pg)、銀合金(Ag)、チタン合金(Ti)、歯科用スペーサー(高分子合成樹脂)としてポリオレフィン(TPO)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を照射対象物とし、頭頸部放射線治療で利用される照射条件で、Cイオン 290 MeV/n、SOBP 60 mm(照射野 10 cmφ)、SOBP 5 mm(照射野 7 cmφ)の照射を行った。線量の測定は平行平板電離箱(Classic Markus)を利用し、線量強度変化と各照射対象物の実際の阻止能比を算出した。結果として、ブラッグピークの位置は、Au、Au-Ag-Pd、Ag、Tiの順で浅くで浅くなり、これは実効原子番号と密度の差であることが考えられた。また、同じ材質でも厚みが薄いとブラッグピークの位置は金属のないブラッグピークに近づき、この位置移動は厚に反比例していた。スペーサーによるブラッグピークの位置は、PET、EVA、TPOの順で浅くで浅くなり、これは歯科用金属の結果と同様であったが、いずれもスペーサーの無い状態より位置が深かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な事由から、実験が遅れていたが、必要なデータ収集および解析はほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験結果について共同研究者と議論を行いながら成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、実験が行えない時期があったことやweb開催の学会がほとんどとなり旅費の支出が減少したこととから次年度使用額が生じた。これは再検証実験、成果発表、論文の英文校正にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)