2017 Fiscal Year Research-status Report
Culture induction mechanism of tumor-associated macrophage and functionals analysis in precancerous lesions and squamous cell carcinoma
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17K11684
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
森 一将 明海大学, 歯学部, 准教授 (80372902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 美紀 明海大学, 歯学部, 講師 (30419717)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケモカイン / CXCL11 / CD31 / Perforin / IFN |
Outline of Annual Research Achievements |
インターフェロン (IFN)誘導性ケモカイン CXCL9, CXCL10, CXCL11は活性化T細胞、NK細胞の走化性作用、血管新生抑制作用を有するケモカインである。我々はヒト口腔扁平上皮癌ならびに白板症におけるCXCL9 の発現、浸潤リンパ球について免疫組織化学的検討を行ない、腫瘍組織にCXCL9陽性所見を認め、またケモカイン受容体であるCXCR3陽性細胞の浸潤も認めたことを報告した。しかし発現しているCXCL9や浸潤リンパ球が抗腫瘍的に働いているのかについては未だ解明されていない。本研究は口腔前癌病変から早期浸潤癌に至る過程におけるIFN誘導性ケモカインの役割を検討する一環としてマウス扁平上皮癌細胞株(SCCVII)に上記ケモカインを過剰発現させた安定発現細胞株を構築し、ヌードマウスへ移植し腫瘍形成に及ぼすこれらケモカインの役割について検討以下の結果を得た。 1. IFN誘導性ケモカイン安定発現細胞株をヌードマウスの背部皮下に接種し、経日的に腫瘍の増殖を観察した。その結果、Empty Vector 導入株と比較してケモカイン安定発現細胞株、特にCXCL9及びCXCL11安定発現細胞株で顕著な腫瘍形成の抑制が認められた。 2. この腫瘍形成の抑制機構を検討する目的で腫瘍組織からTotal RNAを調整し、血管内皮細胞マーカーであるCD31ならびにNK細胞のマーカーでPerforinの遺伝子発現をリアルタイムPCR を用いて検討した結果、CXCL11発現細胞株ではCD31の発現の抑制傾向が認められ、またPerforinの発現は有意に上昇していた。 3.免疫組織化学的にも同様の結果を得た。 この結果から、ヌードマウスはT細胞が欠損していることから、CXCL11は浸潤したNK細胞による細胞傷害作用、および血管内皮細胞の増殖抑制作用により腫瘍の増殖を抑制したものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IFNγ誘導性STAT1およびArginase-1の発現 マウス異形成症モデル部位でTh1またはTh2有意な環境の設定についての検討が遅れている。 マウス異形成部位でIFNγ依存的遺伝子またはIL-4依存的遺伝子の発現が誘導されているのか否かを検討を行う予定である。具体的には舌組織よりRNAを抽出し、IFNγにより誘導されるSTAT-1およびIL-4により誘導されるArginase-1、STAT6遺伝子の発現をReal-time PCR法にて検討する。またSTAT1、Arginase-1およびSTAT6のタンパク質レベルでの発現を免疫染色およびWestern Blot法により検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.白板症モデルからマクロファージの分離 異形成組織を切除し、コラゲナーゼ、トリプシンおよびヒアルロニダーゼ溶液に浸漬し組織を消化し、単一細胞懸濁液を調製する。この溶液をマクロファージマーカーのCD68、CD80およびCD163抗体で標識し、MACS® 細胞分離試薬を用い磁気による細胞分離を行う。 2.分離マクロファージの遺伝子発現の検討 実験1で得られ分離されたマクロファージに恒常的に出てくる遺伝子にTh1マーカーのSTAT1、iNOS、TNFα、CXCL9、CXCL10、Th2マーカーのArginase-1、IL1ra、CCL17、CCL22の発現が認められるか、RNAを抽出しReal-time PCR法にて検討する。またINFやIL-4の添加によりこれら遺伝子の発現が増強するのか否か、同様の方法を用いて検討する。 3.分離マクロファージの機能解析 マクロファージの機能解析としては、細胞傷害性活性ならびにNO (nitric oxide)産生について検討する。細胞傷害活性は、マウス扁平上皮癌細胞株SCCVIIを蛍光試薬 (CFSE: (Carboxyfluorescein N-hydroxysuccinimidyl ester)で細胞膜を染色し、分離したマクロファージと共培養し、SCCVIIの死細胞、生細胞の割合をフローサイトメーターにて測定し、その蛍光強度から求める。本測定にはBasic Cytotoxicity Test Assay Kit (コスモバイオより入手)を用いて行う。また細胞傷害性因子であるNOは、分離したマクロファージを96 well プレートに播種し、経時的に培養上清を採取して NO2/NO3 Assay Kit (同仁化学)を用いて測定する。
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Causes of Carryover |
今回得られた結果のうち作成した、マウス扁平上皮癌細胞株(SCCVII)にIFN誘導性ケモカインを過剰発現させた安定発現細胞株のうちCXCL10発現ベクターを導入したマウス扁平上皮癌細胞が予想に反して増殖能が高い結果が得られている。その原因検討を勧めているがいまだ明らかになっていない。そのため次の段階に予定している、IFNγ誘導性STAT1およびArginase-1の発現実験がいまだ着手していない。この遅れにより、予定物品の購入がなされていないためである。
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