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2020 Fiscal Year Research-status Report

水素水を応用した薬物性歯肉増殖症の新規治療法・予防法の開発

Research Project

Project/Area Number 17K11685
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

竹内 麗理  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60419778)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 有川 量崇  日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50318325)
伊藤 耕  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20419758) [Withdrawn]
田口 千恵子  日本大学, 松戸歯学部, 助教 (80434091)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywords薬物性歯肉増殖症 / 水素水 / 炎症 / ラット / 歯肉線維芽細胞
Outline of Annual Research Achievements

本年度は前年度に引き続き、薬物性歯肉増殖症の発症メカニズムを解明するため、初代培養歯肉線維芽細胞を用いて、血清飢餓状態でのフェニトインの細胞増殖・細胞周期・アポトーシスへの影響を調べた。その結果、フェニトインが歯肉線維芽細胞に対しアポトーシス細胞の発現を抑制し生細胞の割合を増加させること、また、Cyclin D mRNA発現を上方制御しCyclin E mRNA発現には影響を及ぼさない傾向を認めた。血清飢餓状態の細胞では通常、Cyclin発現が抑制され、細胞周期がチェックポイントで停止する。この結果から、フェニトインは細胞周期G1チェックポイントでの停止を阻害することが考えられた。さらに、フェニトインが歯肉線維芽細胞に対しアポトーシス細胞の発現を抑制することが認められた。
薬物性歯肉増殖症は歯肉が肥厚し咀嚼障害や審美障害を引き起こし罹患者に心理的ストレスを与えるなど、日常生活の質を低下させる疾患である。その原因薬物として、抗てんかん薬フェニトイン、免疫抑制薬シクロスポリン、血管拡張薬ニフェジピンなどが知られている。また、歯牙のない歯肉部に増殖は生じず、増殖にはプラークの蓄積と炎症反応の惹起が影響することも分かっている。発症機序は、薬物と炎症刺激が原因となり、歯肉線維芽細胞が過度に増殖し、歯肉コラーゲンなど細胞外基質が堆積することであると報告されている。細胞が増殖し、分化する過程において、正常な細胞周期およびアポトーシスは重要であり、これらはcyclin-dependent kinases (CDKs)、cyclins、CDK inhibitors、retinoblastoma protein (RB)、Bcl-2 family proteins、caspasesなどによって制御されている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

in vitro実験で薬物性歯肉増殖症の発症メカニズム解明のために培養歯肉線維芽細胞を用い、in vivo実験で口腔粘膜の炎症モデル動物を作製し、研究を行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機や試薬の調達困難となり、実験を計画通り実施できず、研究は遅れている。
前年度、培養歯肉線維芽細胞のアポトーシスを制御するミトコンドリア経路におけるカスパーゼやその上流下流の制御因子(イニシエーターカスパーゼ、エフェクターカスパーゼ、Bad、Bim)の遺伝子発現に対するフェニトインの影響を解析し、本年度、シクロスポリン、ニフェジピンの影響についても解析する予定であったが未実施である。また、シトクロムC、Smac/Diablo、AIF、HtrA2、EndoG、Akt、p90RSK、FoxOについても測定を計画していたが未実施である。前年度までに、ラット舌に炎症を誘発しTotal RNAを抽出し、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカイン(ICAM1、IFNG、IL12A、IL12B、IL1B、IL6、TNF)の遺伝子発現を解析しており、本年度、これらのタンパク質発現も解析する予定であったが未実施である。また、水素水の抗炎症効果及びそのメカニズムを明らかにするため、炎症誘発ラットに水素水を適用して、口腔内組織からTotal RNA及びタンパク質を抽出し、IL6受容体の活性化、JAK-STAT経路のJAK1/2・STAT1/3、MAPキナーゼ経路のSos1・Rasなどへの水素水の影響を調べる実験計画を進行中である。薬物性歯肉増殖症の発症メカニズム解明の研究において、培養歯肉線維芽細胞にフェニトインを作用させるとCyclin D遺伝子の発現が亢進すること、アポトーシス細胞の発現が抑制することを認めた。

Strategy for Future Research Activity

薬物性歯肉増殖症の新規治療法および予防法を開発するために、水素水の抗炎症効果を確認し、その詳細なメカニズムを明らかにする。そのため、口腔粘膜の炎症誘発ラットを用いて実験を行い、炎症関連因子ICAM1、IFNG、IL12A、IL1B、IL4、IL6、IL10、TNF、TGFなどのタンパク質発現への水素水の影響をWestern Blot法により解析する。また、IL6受容体の活性化、JAK-STAT経路のJAK1/2・STAT1/3、MAPキナーゼ経路のSos1・Rasなどへの水素水の影響も調べる。
薬物性歯肉増殖症の発症メカニズムを解明するため、細胞周期・アポトーシス制御因子、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのタンパク質発現を解析する。培養歯肉線維芽細胞から抽出するタンパク質を用いて、アポトーシスのミトコンドリア制御経路におけるカスパーゼやその上流下流の制御因子に対するフェニトイン・シクロスポリン・ニフェジピンの影響を、Western Blot法によるタンパク質発現解析によって調べる。対象因子にはイニシエーターカスパーゼ(Caspase-2、-8、-9、-10、-11、-12)、エフェクターカスパーゼ(Caspase-3、-6、-7)、シトクロムC、Smac/Diablo、AIF、HtrA2、EndoG、Akt、p90RSK、Bad、FoxO、Bimなどを考えている。また、炎症誘発ラットから抽出したタンパク質を用いて、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのICAM1、IFNG、IL12A、IL1B、IL4、IL6、IL10、TNF、TGFなどの発現をWestern Blot法により解析する。

Causes of Carryover

薬物性歯肉増殖症の発症機序解明および新規薬物療法開発のため、2019年度までに、培養歯肉線維芽細胞と炎症誘発ラットの口腔粘膜組織から試料を採取しており、2020年度には遺伝子・タンパク質発現解析を行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機や試薬の調達困難となり、実験を計画通り実施できず、研究は遅れている。
次年度には、Western Blot法によるタンパク質発現解析を行うため、イニシエーターカスパーゼおよびエフェクターカスパーゼのCaspase-2、Caspase-3、Caspase-6、Caspase-7、Caspase-8、Caspase-9、Caspase-10、Caspase-11、Caspase-12など、そしてシトクロムC、Smac/Diablo、AIF、HtrA2、EndoG、Akt、p90RSK、Bad、FoxO、Bimなどのアポトーシス制御因子、さらに炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのICAM1、IFNG、IL12A、IL1B、IL4、IL6、IL10、TNF、TGFなどの抗体を購入する。再び、口腔粘膜の炎症モデル及び薬物性歯肉増殖症のモデルでラットを使用する。
国際学術誌に論文を投稿予定であり、英文校閲費用、投稿費用等の支出を予定している。学術大会で発表するため、参加費等の支出を予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] A new animal model for investigation of the oral mucositis disease2020

    • Author(s)
      Reiri Takeuchi, Hiroko Matsumoto, Koichi Hiratsuka
    • Organizer
      第62回歯科基礎医学会学術大会
  • [Presentation] 口腔粘膜疾患モデルの開発2020

    • Author(s)
      竹内麗理, 田口千恵子, 末光正昌, 森川美雪, 松本裕子, 有川量崇, 久山佳代, 平塚浩一
    • Organizer
      第40回日本歯科薬物療法学会学術大会
  • [Presentation] ラット舌への炎症誘発2020

    • Author(s)
      竹内麗理, 田口千恵子, 岡田優一郎, 岡田祐輔, 永岡明記, 中村茂, 李昌弘, 有川量崇, 平塚浩一
    • Organizer
      第69回日本口腔衛生学会・総会

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Published: 2021-12-27  

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