2019 Fiscal Year Research-status Report
新たな根面う蝕治療に向けたバイオアクティブ材料とナノテク材料の応用
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17K11695
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 享 北海道大学, 大学病院, 講師 (90179771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 考績 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (90222885)
田中 佐織 北海道大学, 大学病院, 講師 (90344522)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / バイオアクティブ材料 / ナノテク材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
根面う蝕の治療法について新たなアプローチを試みるために、バイオアクティブ材料・ナノテク材料による歯髄再生について検討した。根面う蝕は、感染歯質の除去範囲が決定し難く、時に露髄することがある。この時、より効果的な直接覆髄材にて歯髄を再生保存できれば臨床的に有効である。新規直接覆髄材として硬組織接着能を有するリン酸化プルラン配合MTAセメントをラット歯髄の露髄面に貼付し、4META/MMA-TBBレジンで被覆したもの、同じく新規直接覆髄材として白金ナノコロイド第1世代、第2世代、第3世代でラット歯髄の露髄面を処理して4META/MMA-TBBレジンで被覆したもので、3・7・28日後に硬組織形成能を病理組織学的に評価した。コントロールは4META/MMA-TBBレジンのみで露髄面を被覆したものとした。 HE染色では、リン酸化プルラン配合MTAセメントは露髄面に厚く均一な形態のデンチンブリッジを早期に形成し、デンチンブリッジ直下においては非露髄面の象牙芽細胞層と連続した良好な配列が認めた。白金ナノコロイドではいずれの世代においてもリン酸化プルラン配合MTAセメントと同等の硬組織形成能が認められた。また、初期の段階において炎症反応が減少していた。 さらに、象牙芽細胞に対して免疫染色を行い詳細な硬組織形成能の評価を行った。コントロールと比較して、リン酸化プルラン配合MTAセメント、白金ナノコロイドで処理したものでは、早期に象牙芽細胞が非露髄面から露髄面に対して配列すること、象牙芽細胞の数が多くなる傾向があることが認められた。 以上の結果より、リン酸化プルラン配合MTAセメント、白金ナノコロイド第1世代、第2世代、第3世代が良好な形態の硬組織を早期に形成する新規直接覆髄材として有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は根面う蝕に罹患した抜去歯、歯肉退縮した抜去歯を用いて行うものを含んでいるが、研究期間中を通じて必要な被験歯の確保が難しい状態が続いている。そのため、現在も実験に適した被験歯を収集しながら、研究期間を延長して継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在確保した限られた抜去歯から有効な試料作製法を検討する。 実験計画を再構築し、より有効な材料による実験を選別し遂行する。 また、カニクイザルの歯による硬組織の研究からラット歯髄による病理組織学的な研究に変更したため、得られた標本からさらなる歯髄再生の評価について検討していく。
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Causes of Carryover |
本研究の多くは、根面う蝕に罹患した抜去歯、歯肉退縮した抜去歯を用いて試料を作製し、そこからデータを求めていくものである。しかし、研究期間を通じて必要な被験歯の確保が難しい状態が続いたため、1年間の研究期間の延長申請を行い、研究が終了せず次年度使用額が生じた。研究に必要な物品は、ほとんどそろっていると思われるが、次年度に予期せず購入する物品が生じる可能性があり、その購入に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)