2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな根面う蝕治療に向けたバイオアクティブ材料とナノテク材料の応用
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17K11695
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 享 北海道大学, 大学病院, 講師 (90179771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 考績 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (90222885)
田中 佐織 北海道大学, 大学病院, 講師 (90344522)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / 歯髄の再生保存 / MTAセメント / リン酸化プルラン / 直接覆髄材 |
Outline of Annual Research Achievements |
根面う蝕の感染歯質除去中の偶発的な露髄に対して、より確実な歯髄の再生保存を目指し新規直接覆髄材としてのリン酸化プルラン含有MTAセメントの可能性について検討した。ラット上顎臼歯の歯髄を露髄させ、リン酸化プルラン含有MTAセメント(MTAPL)、リン酸化プルラン単味(PL)、MTAセメント単味(MTA)、スーパーボンド(SB)の4種を直接覆髄材として用い露髄部に貼付した。処置後 1日、7日、28日の歯髄反応をHE染色で評価した。また、免疫組織化学的染色(anti-CD34抗体、anti-DMP1抗体) を用いて象牙芽細胞様の細胞分化と歯髄の血管新生を評価した。1日目では、MTAPLとMTAにおいて軽度の炎症細胞の浸潤が認められ、PLではさらに軽度の炎症反応を示した。一方、SBでは軽度から中等度の炎症反応を示した。7日目では、すべての覆髄材で露髄面に薄い石灰化組織形成が認められ、歯髄組織には炎症反応がないものと軽度の炎症反応があるものとが観察された。28日目では、MTAPLにおいて炎症反応はなく、MTA、PL、およびSBにおいては軽度の炎症反応が観察された。また、MTAPL、MTA、およびPLでは露髄面を完全な形で覆うように石灰化組織の形成が観察された。しかし、SBは石灰化組織の形成は認められたが完全な形では露髄面を覆っていなかった。すべての覆髄材においてanti-DMP1抗体(28日目のみ染色)によって周囲が陽性反応を示した石灰化組織が観察され、anti-CD34抗体(すべての実験期間で染色)によって内皮細胞が陽性反応を示した毛細血管が観察された。以上よりMTAPLを直接覆髄材として用いた場合、歯髄は軽度の炎症反応を呈した後に治癒し、露髄面を完全に覆うような形で石灰化組織が形成されることから、MTAPLは優れた直接覆髄材になりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
必要な被験歯の確保が難しいため本年度まで研究期間を延長したが、コロナ禍の影響で被験歯の確保が難しい状態が続いている。また、研究時間も十分確保されなかったため、さらに研究期間を延長して継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き確保できた抜去歯で本年度再構築した実験計画を遂行する。また、得られたラット歯髄の病理組織標本から他の評価法を探索し歯髄再生について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた研究が遂行できず、残額が生じた。残額にて本年度に遂行できなかった研究を次年度に行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Effects of Colloidal Platinum Nanoparticles on Dental Pulp.2020
Author(s)
Islam R, Chowdhury AFM, Sano H, Chen F, Hoshika S, Ikeda T, Watanabe C, Tanaka T, Matsumoto M, Yamauti M.
Organizer
IADR/AADR/CADR General Session 98th General Session, Washington D.C. USA
Int'l Joint Research