2019 Fiscal Year Research-status Report
根面う蝕の発症に影響を及ぼす口腔バイオフィルム細菌叢の解明と新規予防法への応用
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17K11703
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50456943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50218286)
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / 細菌叢 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、根面う蝕罹患部から採取した臨床サンプルを用いて根面う蝕に関連する細菌叢を明らかにすること、またin situバイオフィルムモデルを用いて根面う蝕に対する化学的抑制法を検討することである。 根面う蝕罹患部におけるバイオフィルム細菌叢の解析では、う蝕の進行度の異なるう窩のバイオフィルムおよび実質欠損を認めない露出根面に形成されたバイオフィルムを採取し細菌叢を比較した。その結果、初期根面う蝕病変におけるバイオフィルム細菌叢は、実質欠損のない露出根面あるいは進行したう蝕病変と比較し、Actinomyces,Lactobacillus, Scardovia属などの酸産生菌を含む細菌属の割合が高く、また、これらの細菌はう窩のより深部において割合が高いことが示された。 一方、in situバイオフィルムモデルを用いた根面う蝕に対する化学的抑制法の検討においては、初期根面う蝕を模した表面が脱灰されたdentin block上にヒト口腔内においてバイオフィルムを作製し、SDFがバイオフィルムに及ぼす影響を検討した。共焦点レーザー顕微鏡観察において、コントロール群と比較し、SDF群においてバイオフィルムの厚みおよびバイオフィルム体積の有意な減少が認められた。また、16S rRNAシーケンス解析により、コントロール群とSDF群間で、細菌叢の変化がみられ、Neisseria属やVeillonella属などの相対的割合に有意差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、根面う蝕の臨床サンプルを用いたう蝕の進行度による細菌叢の比較およびin situバイオフィルムモデルを用いた化学的抑制法の検討がなされたため。 根面う蝕の臨床サンプルを用いた検討においては、う蝕の進行度によりバイオフィルム構成細菌の相対的割合が変化することが示された。 また、化学的抑制法の検討においては、in situにおけるSDFの抗バイオフィルム効果が多面的に評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果を発表し、広く情報を発信する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により参加を予定していた学会に出席することができなかったため。代替の学会にて得られた成果を発表し、意見交換および情報収集を行う。
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Research Products
(7 results)