2017 Fiscal Year Research-status Report
ミュータンス連鎖球菌の糖輸送関連遺伝子がう蝕の発症に与える影響について
Project/Area Number |
17K11707
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木村 智子 徳島大学, 病院, 助教 (20581367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 千尋 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50332820) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯学 |
Outline of Annual Research Achievements |
Streptococcus mutansの主な病原因子であるバイオフィルム形成ならびに酸産生にはスクロースが深く関与している。スクロース輸送機構の一つであるホスホエノールピルビン酸依存ホスホトランスフェラーゼ系(PEP-PTS)において,スクロースを菌体内へ取り込むのに必須な酵素をコードするscrA遺伝子の役割を明らかにし,バイオフィルム形成をはじめとする他の病原因子との関連を解明していくことは,う蝕や歯髄炎の発症メカニズムを探る上で重要である。そこで,scrA遺伝子が,スクロース存在下での菌の付着に影響を及ぼしているかについて検討を行った。 親株とscrA遺伝子改変株について,スクロースを利用した試験管壁への付着について測定した。まず,親株およびscrA遺伝子改変株の対数増殖期の菌を遠心して集菌した後,カリウム・リン酸緩衝液(KPB)にて菌液を調製した。試験管に,調製した菌液と5%スクロース溶液を入れ混合し傾斜させ,37℃で6時間静置した。反応終了後,試験管を静かに回転させて,付着していない菌体を含んだ懸濁液を別の試験管(試験管2)に移した。菌液が付着している試験管(試験管1)に,KPBを加えて再び回転させ,解離した菌体を含む懸濁液を別の試験管3に移した後,さらに試験管1にKPBを加える。試験管1~3を超音波処理して均一な浮遊菌液とし,吸光度を測定した。付着率は,試験管1の吸光度の,試験管1~3の総吸光度に対する百分率で算出した。 結果,親株とscrA遺伝子改変株の間に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では菌液の入った試験管を18時間静置して実験を行う計画にしていたが,まずは6時間と短い時間での検討を行った。結果,有意な差は認めなかった。研究計画を変更して行ったことにより,想定していたよりも多くの時間を要してしまったため,静置時間を延ばしての検討が十分行えなかった。遂行できなかった計画については,平成30年度,平成31年度の研究計画に組み込んで行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画のとおり,18時間試験管を静置して再び検討を行う。 その後,口腔内により近い環境を再現するために,天然歯のエナメル質の代替材として用いられているハイドロキシアパタイト板(HA板)を使用してS. mutansの初期付着の検討を行う。実際には唾液由来の糖タンパクが歯面に吸着してできるペリクルを介して歯面に付着するため,HA板を唾液コーティング処理して用いる。HA板上に菌液を滴下して静置し,洗浄した後,HA板上に付着した菌体細胞を回収してBHI培地に播種する。これを嫌気培養し,生育したコロニー数を測定して,付着率を算出する。 また,共焦点レーザー走査顕微鏡をを用いてバイオフィルム内部の観察を行う。
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Causes of Carryover |
マイクロプレートリーダーを購入予定であったが,今年度は他の講座の機器を使用することが可能となったため購入を見送った。しかし,次年度は研究代表者の講座の研究室で研究を行う。今後も吸光度を測定する必要があり,次年度への繰越額で購入予定である。 また,今年度の研究計画がすべて遂行できておらず途中となっており,今年度使用を予定していた研究費を次年度に繰り越して研究を遂行する。
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