2017 Fiscal Year Research-status Report
予知性と永続性を備えた臼歯部メタルフリーレストレーション技法の確立
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17K11715
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
亀山 敦史 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (60338853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 亜貴子 東京歯科大学, 歯学部, その他 (30385174)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CAD/CAM / 接着阻害因子 / メタルフリー修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.メタルフリー修復時の接着性向上の試み:セラミック被着面の改質によってレジン系修復材料との接着性向上を図るべく,CAD/CAMセラミックブロック(IPS Empress CAD)に対してリン酸処理後,大気圧プラズマ(APP)あるいは紫外線(UV)を照射した.しかしながら,APP,UVいずれの場合においても,非照射セラミック表面の水との接触角との間に有意差を認めなかった.また,APP照射表面,UV照射セラミック表面に対してボンディング処理後にコンポジットレジンを接着させ,その微小引張り接着強さを測定したが,非照射セラミック表面への接着試料との間に有意差はなく,APPやUVの接着向上効果は認められなかった.一方で,リン酸処理後にシランカップリング処理を行った場合,非照射セラミック表面に比べて有意に水接触角が大きく,また接着強さも高かった. 2.CAD/CAM修復材料に対するPMTCペーストの影響:2種類のCAD/CAM用コンポジットレジンブロックと2種類のセラミックブロックに対して,各種条件で機械的清掃処置を行い,清掃前後での表面粗さと光沢度の比較を行った.その結果,粒径の大きいペーストで生じた光沢度の低下は,その後粒径の小さいペーストでの研磨を行っても改善できないことが明らかとなった.またセラミック系ブロックでは,機械的清掃による光沢度や表面粗さの変化は小さかった.さらに,1ステップPMTCペーストを用いて検討したところ,コンポジットレジン系ブロックでは,100gf,300gfのいずれの荷重で機械的清掃を行った場合においても光沢度が低下した.また100gfの荷重で機械的清掃を行った場合,10秒間の清掃より30秒間の清掃で著しい光沢度の低下を認めたことから,1ステップ型ペーストを用いる場合,弱い荷重よりむしろやや強めの荷重で行うことが望ましいものと思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,平成29年度中に実施を予定していた「メタルフリー修復時の接着性向上の試み」について,CAD/CAMセラミックブロックに対して紫外線や大気圧プラズマを照射することで照射表面の濡れ性が向上することが明らかとなったが,接着性の向上には至らなかった.このため,解析に当初の予定を超える期間を要した. 「修復歯への咬合ストレスによる応力分布のシミュレーションとダメージ解析」について,当初は平成29年度に行うことを予定していたが,実験条件の設定やヒト歯を用いるにあたっての倫理申請上の問題から,平成30年度以降で実施することとした. なお,平成30年度以降に実施を予定していた「接着阻害因子・重合阻害因子への対応策の検討」については,平成29年度に前倒して実施を開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.接着阻害因子・重合阻害因子への対応策の検討:平成29年度に一部の実験を開始し,すでに一部の結果が得られている.現在得られている結果を踏まえ,平成30年度,31年度では,特に接着阻害因子を除去できる前処理剤の開発を引き続き行う予定である. 2.修復歯への咬合ストレスによる応力分布のシミュレーションとダメージ解析:各種歯冠修復材料を用いて修復を行った後に異常な咬合ストレスがかかった場合にどのような挙動を示すかについて,有限要素法などを用いたin vitro でのシミュレーションを行う予定である.さらに,その結果をもとにヒト抜去臼歯に修復を行い,パラファンクションを想定したメカニカルストレスを与え,その破壊強度を測定する. 3.メタルフリー間接修復時における理想的な補強技法の検討:う蝕などによって深い歯質欠損が生じている場合においても『材料的因子』を最大限に生かすために, (1) 理想的な歯質補強材料の模索,および (2) 修復物装着時における残存歯質,修復物,歯質補強材料それぞれの被着面への理想的な被着面処理法を模索し,接着試験や破壊様式の観察を行う予定である..
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめ,オープンアクセスジャーナルに投稿中の論文が複数あり,それらが当該年度内に受理された場合の投稿料を助成金から充てることができるよう,意図的に残額を多くした.結果として,当該年度内には受理されなかったため,使用額を次年度に繰り越すこととなった.
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Research Products
(6 results)