2017 Fiscal Year Research-status Report
S1Pによる骨形成-血管新生制御機構の解明と硬組織再生治療への臨床的展開
Project/Area Number |
17K11729
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
松崎 英津子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (20432924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 富美 産業医科大学, 医学部, 教授 (50274436)
阿南 壽 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (80158732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | S1P / 骨芽細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨芽細胞-血管内皮細胞相互作用の解析に先立ち、S1PR1およびS1PR2受容体作動薬を投与したマウス脛骨からmRNA、血液から血清を抽出し、骨芽細胞分化マーカーならびに血管新生関連シグナルのパラクライン因子の検出をqRT-PCR法、ELISA法により行った。S1PR1作動薬により、アルカリホスファターゼ (ALP)、オステオポンチン (OPN)、骨シアロタンパク質 (BSP)の発現は有意に増加した。S1PR2作動薬により、ALP、OPN、BSPに加えてオステオカルシンの発現が有意に増加した。とりわけ、S1PR2作動薬により、後期の分化マーカーや骨基質形成に関与する遺伝子発現が著明に増加した。骨芽細胞分化に重要なRunx2に関しては、両作動薬により発現が増加傾向にあった。加えて、S1PRおよびS1PR2受容体阻害薬を用いた同様の実験では、S1PR1経路はBSP、S1PR2経路はALP、OPN、BSPの発現に関与することがわかった。次年度以降、in vivoの根尖部歯周組織における骨組織形成作用を解析するうえで、これらの遺伝子に着目して実験を行う。また、血管内皮増殖因子 (VEGF)、線維芽細胞増殖因子 (FGF-2)、血管成長関連因子 (DLL4)発現に関して、現在解析中である。 一方、骨芽細胞-血管内皮細胞相互作用の解析について、それぞれの細胞と培養上清を培養し、S1P存在下ならびに非存在下での骨分化促進・血管新生作用亢進について濃度依存性による影響を検討中であり、引き続き解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度以降のin vivoにおける実験をスムーズに進めるため、骨芽細胞-血管内皮細胞相互作用の解析に先立ち、S1PR1およびS1PR2受容体作動薬存在下、非存在下のマウス脛骨から抽出したmRNA、血清を用いて、両シグナルが関与する因子について比較検討を行った。これまでに明らかにしたin vitroの結果とは異なる因子にも関連することが明らかとなった。分化マーカーの発現量は分化段階に応じて変化するため、in vivoにおける作動薬の作用期間が影響したと考えられた。そのため、作動薬の作用期間について慎重に検討する必要性がある。 一方、骨芽細胞-血管内皮細胞相互作用の解析は、それぞれの培養上清の濃度依存性による影響を検討中であり、引き続き解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞-血管内皮細胞相互作用の解析は、それぞれの培養上清による影響を明らかにし、特に血管新生関連シグナル因子を同定することにより、その受容体阻害または中和抗体による影響も検討する。 また、並行してラット臼歯根尖部歯周組織における骨形成作用の実験を行う。当初、実験的根尖性歯周炎を惹起させて歯根尖切除術を行った骨窩洞における、S1Pによる細胞間相互作用を検証する予定であったが、再現性のあるモデル動物作製に時間と動物数が必要となること、炎症組織除去後の骨窩洞に対してS1Pを添加すること、進捗状況を鑑み、人工的に作製した根尖部の骨窩洞を用いて、同様の実験を行うことを考慮する。
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Causes of Carryover |
進捗状況がやや遅れているために、当該実験に必要な器具、物品(特に使用期限がある試薬等)の一部を次年度使用額として計上した。
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