2019 Fiscal Year Research-status Report
蛍光タンパクを用いた革新的カップリング・モノマー可視化技術の開発
Project/Area Number |
17K11749
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西川 悟郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (00172635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70304326)
丸尾 幸憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (60314697)
入江 正郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 非常勤研究員 (90105594)
皆木 省吾 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80190693)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | サンドブラスト / レジンセメント / シランカップリング剤 / 蛍光タンパク / 蛍光顕微鏡 / SEM / STEM |
Outline of Annual Research Achievements |
サンドブラスト処理後の歯科用修復物表面に付着する微量のサンドブラスト粒子は単なる汚染物質とみなされ,臨床においても,あるいは研究室の実験手順においても,通常は蒸留水などによる超音波洗浄で除去される.申請者らはこの超音波洗浄処理が修復物に対するレジンセメントの接着強さを減少させる現象を報告した(Nishigawa G et.al, PLoS ONE, 2016).しかしながら,この洗浄処理が接着強さを減少させる原因は未だに明らかではない.研究者らは超音波洗浄による接着力低下の原因が,サンドブラスト処理によりもたらされた材料表面の物理的な新鮮面露出(化学的清浄化)がそれに続く蒸留水を用いた超音波洗浄浄によって新鮮面が汚染された結果引き起こされたものと考察した.しかしながら,表面汚染によるカップリング・モノマー吸着量への影響・変化をうまく観察する方法はなかった本.研究は,これらの問題を明らかにするため,蛍光タンパクを用いた革新的なカップリング・モノマー可視化技術を開発し,その技術を用いて,超音波洗浄による接着力低下の原因が,サンドブラスト処理による材料表面の物理的な新鮮面露出(化学的清浄化)とそれに続く蒸留水を用いた超音波洗浄浄による新鮮面への汚染であることを,材料表面のカップリング・モノマー吸着量分析から証明することを目的とする. 令和元年度は前年度までの成果を基に,被験樹脂であるCAD/CAM冠に用いられるレジンブロック表面に吸着させたカップリング・モノマーに蛍光タンパクによる処理を行いモノマーへのタンパクの付着状態を,蛍光顕微鏡を用いて観察することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジンブロック表面にカップリング・モノマーを吸着させ,さらにその表面上に蛍光タンパクによる処理を行い,モノマーへのタンパクの付着状態を,蛍光顕微鏡を用いて発光状態を視覚的に観察することができた.一方,対照群として行った場合の,カップリング・モノマーを吸着させないレジンブロックに蛍光タンパク処理を行なった試料で,発光状態は観察されなかった. この結果が得られたことは,本研究の目的に対しての大きな成果の一部分となるものである.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で被験レジンブロック上へ付着したカップリング・モノマーの視覚的観察を行った. その方法を確立させたうえで,サンドブラストした被験材料表面の超音波洗浄による汚染,あるいはその他の化学的な汚染を施した後にカップリング・モノマーを吸着させ,さらにその付着したカップリング・モノマーに蛍光タンパクを結合させる.その表面を蛍光顕微鏡で観察し,それらの発光状態をサンドブラスト後一切の汚染なしの資料における発光状態と比較をする. これらの観察によって,蛍光タンパクを用いたカップリング・モノマー吸着状態の視覚的観察方法を確立する予定である.
|
Causes of Carryover |
当該年度中に,レジンブロック表面にカップリング・モノマーを吸着させ,さらにその表面上に蛍光タンパクによる処理を行い,モノマーへのタンパクの付着状態を,蛍光顕微鏡を用いて発光状態を視覚的に観察することができた. 以上のように該当年度の実験が順調に進んだことから,当該年度の試料ブロック用樹脂の使用量を予定よりも少量で遂行することができた.その額は,樹脂と蛍光タンパクキットの次年度使用額に加える予定である.
|