2019 Fiscal Year Research-status Report
A study to verify how maidibular complete denture with silicone based resilient liner influences on mental nerve.
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17K11767
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木本 統 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (10267106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無歯顎患者 / 全部床義歯 / 疼痛閾値 / 知覚閾値 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本大学松戸歯学部付属病院に来院した上下顎総義歯の製作を希望する無歯顎患者で、研究内容を理解し同意が得られた者を被験者とした。現在までに、122名中31名が被験者登録され、下顎全部床義歯を軟質リラインにてリラインした義歯を使用する軟質義歯群)15名、軟質リライン材を使用しない通法義歯群16名の合計31名の割付と調整完了3ヶ月後における知覚閾値(CPT)と疼痛閾値(PT)の測定が終了した。2000 Hz(Aβ繊維)、250 Hz(Aδ繊維)、5 Hz(C繊維)の電流刺激をN-CPT/Cを用いて与え測定を行った.調整完了3ヶ月後の2000Hzは軟性義歯群群において145.8(27.9)、通法義歯群104.5(20.4)、250Hzでは軟性義歯群は82.8(21.1)通法義歯群では66.8(11.6)、そして 5Hzでは軟質義歯群128.2(38.1)通法義歯群76.0(25.5)であった。t検定の結果すべての周波数において軟質義歯群のPT値は通法義歯群より有意に高かった(p<0.05)。この結果より全部床義歯装着者は軟質リライン材を使用することで痛みを感じ難くなることが明らかになった。しかしながら、知覚閾値に関しては、2000、250、5Hzすべてに於いて通法義歯と軟質義歯群において有意な差は認められなかった。これまで、軟質リライン材を使用した場合下顎顎堤の痛みが減弱するのは、軟質リライン材の緩圧効果によるものと考えられてきたが、軟質リライン材が疼痛閾値を上昇させるとういう生理学的効果に寄与するところがある事を本研究は示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年が経過した現在、日本大学松戸歯学を新義歯製作のため訪れた122名の全部床義歯患者に対し声かけを行い、研究参加に同意した31名を無作為割り付けした。軟質義歯群へ15名、通法義歯群へ16名の割付し、3ヶ月後の評価まで終了した被験者を元に論文を発表しパブリッシュされた。 論文はThe effects of silicone-based resilient denture liners on pain: A randomized controlled trial. Furokawa S, Kimoto S, Furuse N, Furuya Y, Ogawa T, Nakashima Y, Okubo M, Yamaguchi H, Kawai Y. J Prosthodont Res. 2020 doi: 10.1016/j.jpor.2019.11.006. このことから「おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
義歯調整完了3ヶ月後電流知覚閾値(CPT値)の250Hzにおいてのみ通法義歯と軟質義歯間に差が認められていない。通法義歯使用群のCPT値は軟質義歯群のCPT値より高いことは見て取れるが、統計的有意差は認められていない。これは、単純にサンプル数が不足していることに起因していると考えられる。そこで、次年度に於いても患者の募集を継続しサンプルサイズを増やしていく予定である。また、6ヶ月後1年後の長期観察がおこなわれていないので、今後も被験者の追跡調査を継続していく予定である。長期観察時の両群間に差が認められた時点で論文作成を行う。またセカンダリーアウトカムとして観察を行っている咀嚼能率や最大咬合圧などのデータについても報告を行っていく。
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Causes of Carryover |
想定した軟質義歯が少なく、軟質義歯技工料金が予定より少なくなったため。これは、次年度の軟質義歯装着に割付けられた被験者の技工料金に充てる。
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