2018 Fiscal Year Research-status Report
Examination for the development for cellulose nano fiber reinforcement dentures and the practical use to dentures
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17K11771
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
川口 智弘 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (50631701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50154878)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 義歯床用レジン / セルロースナノファイバー / 曲げ強さ / 曲げ弾性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
義歯床の破折防止を目的として、義歯床の機械的性質を向上させるためにグラスファイバーなどの繊維性補強材を埋入し、義歯床を繊維強化型複合材料にする研究がなされてきた。近年、産業界において高強度の植物性ナノマテリアルであるセルロースナノファイバーが,合成樹脂材料の繊維性補強材として期待されている。歯科領域においては、義歯床用レジンの機械的強度を増加させる研究が進められているが、セルロースナノファイバーを繊維性補強材として用い義歯床用レジンの強度向上を示した研究はほとんどみられない。 平成30年度の目的は、セルロースナノファイバー強化型複合材料を用いた義歯への実用化に向けた義歯の製作方法について検討することである。平成29年度ではセルロースナノファイバー含有の義歯床用射出成形型熱可塑性樹脂をサンプルとして作製した。本実験は、ISO20795-1に基づいた義歯床用レジン用の試料を作製し、曲げ試験を行い評価した。実験の結果、セルロースナノファイバー含有アクリルレジンと非含有アクリルレジンと比較したところ、セルロースナノファイバーによって曲げ強さが有意に向上したものはなかった。平成30年度ではセルロースナノファイバー含有の熱可塑性アクリル樹脂複合体から、従来型の射出成形型義歯床用レジンに配合し、曲げ試験を行い評価した。セルロースナノファイバー非含有レジンと比較したところ、5,10,15,23wt%でセルロースナノファイバー含有量が増えるにつれて曲げ強度および曲げ弾性係数が有意に向上したことがわかった。射出条件は従来型射出成形型義歯床用レジンと同様に設定したためセルロースナノファイバー含有アクリル樹脂複合体においても義歯床の製作が可能であると考えられる。しかしながら、高湿潤環境で繰り返し衝撃荷重が負荷される口腔内環境での長期的変化については今後の検討課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度ではセルロースナノファイバー非含有レジンと比較したところ、5,10,15,23wt%でセルロースナノファイバー含有量が増えるにつれて曲げ強度および曲げ弾性係数が有意に向上したことがわかった。射出条件は従来型射出成形型義歯床用レジンと同様にしたためセルロースナノファイバー含有アクリル樹脂複合体においても、射出条件では熱分解は起きず、セルロースナノファイバーが凝集することなく分散し義歯床の製作が可能であると考えられる。しかしながら、高湿潤環境で繰り返し衝撃荷重が負荷される口腔内環境での長期的変化および義歯の審美性や研磨性などについては今後の検討課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロースナノファイバー含有アクリル樹脂複合体の色調についてはリグニン未含有のセルロースナノファイバーを用いることで改善が期待できる。また、高湿潤環境での長期的変化については熱サイクル負荷試験や長期水中浸漬試験などを行い機械的強度の変化を検討する。また粉液重合型が歯科用では頻用されるため、セルロースナノファイバーをモノマー溶液中に溶解させることで、常温重合レジンや加熱重合レジンなどに配合し義歯床用レジンの製作を検討する。
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Causes of Carryover |
平成30年度に成果発表のため海外学会発表(IADR、ロンドン)を海外旅費として計上していたが研究進捗状況より発表出来なかったため、平成31年度に成果発表を行うこととする。
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Research Products
(3 results)