2017 Fiscal Year Research-status Report
酵素活性阻害作用と抗菌性を発現する新規金属ナノ粒子の開発
Project/Area Number |
17K11779
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
橋本 正則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00337164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50530490)
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 / バイオフィルム / バクテリア / 酵素 / 生物模倣性 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノ粒子は中心に金属原子があり、ポリマーなどで周囲を取り囲み分散性を付与している。分散性の付与のため外膜はプラスまたはマイナスに電荷する必要がある。よって外膜にはカルボキシル基などの官能基を有する構造が多く、それらが特定物質の活性サイトに選択的に結合して新しい活性を発現する可能性が指摘されている。口腔細菌であるStreptococcus mutansが有する酵素(グルコシルトランスフェラーゼ)も金属ナノ粒子と類似な構造を持つことから,金属ナノ粒子は,生物模倣性があることが報告されている。さらに、金属ナノ粒子はバクテリアの外膜とも生物模倣設計を有する。このことから、金属ナノ粒子の生物模倣構造により類似の構造体と容易に結合でき、酵素活性阻害などの新規的な反応を引き起こす可能性がある。そこで本研究では、金属ナノ粒子のバクテリアが有するバイオフィルム形成阻害について調査した。銀ナノ粒子はバイオフィルムの形成を阻害した。また、それは粒径の小さいナノ粒子ほど阻害作用が大きいことから、ナノ材料の特性である”表面効果”が有効に働いていることが判明した。しかし、その機序については不明である。考えられる事として、①ナノ粒子が、バイオフォルム形成に関する酵素と結合し、その作用を不活化している。②ナノ粒子が菌体と結合して菌体同士が結合できずバイオフィルムを形成を阻害している。③ナノ粒子のバクテリアに対する抗菌作用について精査する。以上のテーマについて他の種類のナノ粒子を用いて検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属ナノ粒子がバクテリア(S. mutans)の有するバイオフィルム形成を阻害する作用があった。また、粒径が小さい粒子ほど阻害作用が大きかった。今後、その機序の解明を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
銀ナノ粒子のバイオフィルム形成阻害作用の機序について調査する。 ①ナノ粒子が酵素に結合することによる、酵素の不活化がバイオフィルム形成を阻害している。 ②ナノ粒子が細菌外膜に結合することにより、細菌間の結合を阻害して、バイオフィルムの形成を阻害している。
以上の2点を中心に研究を遂行する予定である。また、他の異なる種類の金属ナノ粒子を使用してその効果を検証する。
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Causes of Carryover |
研究進行状況の関係にて、遺伝子関連の分析が遅れたため、その部分における研究(各種アッセイ)ができなかった。そのため、その分の研究費が少し残った。次年度にその残高分を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)