2018 Fiscal Year Research-status Report
Influence of bruxism for somatosensory profile
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17K11786
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯田 崇 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50453882)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 咬筋 / 筋痛 / 定量的感覚検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
開口障害の主たる原因となる咀嚼筋の筋・筋膜痛が生じるメカニズムは解明されていない。本研究ではまず、開口量が正常範囲である健常被験者を咬筋の圧痛の有無にて2群間に分類し、定量的感覚検査(QST) を用いて咬筋上の皮膚の感覚機能を比較、検討を行った。 口腔顔面痛の既往を認めず、健常者28名(男性12名,女性16名)を被験者とした。全被験者の右側咬筋に1.0kgの荷重を加え,圧痛を認める群(MMP群)(12名) と圧痛を認めない群(NMMP群)(16名) の2群間に分類した。QSTの測定項目はGerman Research Network on Neuropathic Painが推奨する13項目とした。QSTの測定部位は右側咬筋上と右側母指球筋上の皮膚とした。 咬筋におけるMMP群の圧痛閾値(PPT) は,NMMP群と比較して有意に低い値を示した(P< 0.05) 。咬筋上の皮膚におけるMMP群のピンプリック刺激により評価を行う機械的疼痛感度(MPS) は,NMMP群と比較して有意に高い値を示した(P< 0.05) 。右側母指球筋上の皮膚における全測定項目は有意差を認めなかった。 痛覚過敏の指標となるMPSは咬筋上の皮膚においてNMMP群と比較してMMP群にて有意に高い値を示したことから,MMP群における咬筋上の皮膚の疼痛閾値が低下していることが示唆された。以上より,咬筋の圧痛が咬筋上の皮膚の痛覚閾値を低下させた可能性あるいは咬筋上の皮膚における痛覚閾値の違いが咬筋の圧痛を発現する因子となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に実験デザインの確立まで時間を要したが、本年度は確立した実験デザインにて測定を進めた結果、デザインに問題を認めなかったことから本実験を進めることが可能となった。咬筋の筋痛を有する被験者のリクルートに時間を要するが、期間内に測定は完了することが可能と考えられる。 また、並行してfMRIを用いた圧痛を認める群(MMP群) と圧痛を認めない群(NMMP群)の群間における脳活動の違いに関する検討を進めている。現在、運動課題中の脳活動を検討するか、感覚刺激による脳活動を測定するか文献検索を進めながら実験デザインの最終決定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本実験の測定時に、咬筋の触診によって関連痛を誘発する被験者を複数名認めた。現時点では被験者を咬筋の触診による圧痛の有無で2群間に分類しているが、今後被験者数が増えることによって関連痛が誘発された被験者の群を設定することが可能と考えられる。申請書の作成段階ではなかった被験者群となるが、咀嚼筋の筋・筋膜痛が生じるメカニズムを解明するにあたり、必要な検討項目と考えている。 現在、全被験者の右側咬筋に1.0kgの荷重を加えることにより圧痛の有無を評価しているが、関連痛の発現頻度は荷重量と時間に相関を認めることが報告されている。現在のCriteriaにて関連痛を誘発する被験者を確保することが厳しい場合は、別の実験デザインを構築して追加実験を進めることも検討している。
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Causes of Carryover |
本年度は論文投稿を3本予定し、2本は投稿したが、1本は年度内に完成が間に合わなかった。完成が間に合わなかった論文の英文校正代を次年度へ繰り越す形とした。 また、消耗品の購入において実験に使用した量が予想を下回る結果となったことも原因の1つと考えられる。最終年度において追加実験を行うことが予想されていることから、消耗品の購入も含めて検討を予定している。
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Research Products
(3 results)