2018 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアインプラントの新規表面改質とオッセオインテグレーション獲得過程の解析
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17K11790
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
田辺 俊一郎 朝日大学, 歯学部, 准教授 (60227197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 潤 朝日大学, 歯学部, ポストドクター (20778138) [Withdrawn]
近藤 雄三 朝日大学, 歯学部, 助教 (30778139)
近江 靖則 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 准教授 (50313713)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70513670)
玉置 幸道 朝日大学, 歯学部, 教授 (80197566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カルシウム修飾 / 電気炉焼成 / チタン / ジルコニア / 歯肉上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、動物モデルへの埋入実験に先立ってチタンだけでなくジルコニア材料(nanoジルコニア)のカルシウムコーティング方法の条件検討を詳細に行い細胞親和性について、ヒト骨髄由来幹細胞(hBMSC)に加え、ヒト歯肉由来の上皮系細胞(hGEC)、線維芽細胞(hGFB)を用いて検討した。 カルシウムコーティング法は前年度に行った炭酸カルシウムの熱分解温度の検討から焼成温度を700 ℃と900 ℃に設定した。焼成後の試験片の表面の元素分析、焼成前後の炭酸カルシウムのX 線回折分析(XRD) を行い、主成分の構造変化についても検討を加えた。その結果、炭酸カルシウムは900 ℃焼成後には分解により焼成前の炭酸カルシウムのピークは焼失して新たに酸化カルシウム(CaO) のピークが観察された。一方、700℃では炭酸カルシウムの分解が認められなかった。さらに、900 ℃焼成後のチタンおよびnanoジルコニア表面には、表面マッピングからカルシウム の析出が確認された。しかし、700 ℃で焼成した試験片ではカルシウムは、検出限界以下であった。 上記のカルシウムコーティング試料を用いて、試料上でhBMSCを培養したところ900℃で焼成した試料ではhBMSCの増殖が抑制されたがALP活性染色では濃染された。また、hGECやhGFBの増殖では有意な抑制はみられなかった。一方で700℃で焼成した試料では3種の細胞の増殖が促進された。また、これらの細胞を回収してRNAを抽出し、骨分化マーカー遺伝子の発現量を、リアルタイムPCR法で検討したところ、Runx2、osterix、osteocalinの発現上昇が顕著であった。これらの結果はチタンおよびnanoジルコニアの双方で同様であった。これらの細胞試料は次年度のジェネティックおよびエピジェネティックな遺伝子発現変化の解析を行うための試料としても継時的に採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト骨髄由来幹細胞に加え、ヒト歯肉由来の細胞でも細胞動態の検討が終了し、動物実験を開始して計画通り順調に進められており、本研究のように炉内焼成法という単純な方法でインプラント材料表面にカルシウム 修飾した試料の効果を検討する段階まで進められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果をふまえ、900℃焼成群で増殖抑制がみられたがALP活性が上昇していたことから、骨芽細胞分化マーカーの発現変化等詳細に検討する予定である。また、カルシウムコーティング試料上での細胞の増殖分化に関わるジェネティックな因子の探索も進めておく。 また、動物モデルを用いた評価として、ラットの大腿骨に各種条件でカルシウムコーティングを行ったミニインプラントを埋入し、一部は経時的なトルク試験による、骨との接合部の解析を行い、一部は、経時的に非脱灰研磨切片およびパラ包埋切片を作製してインプラント体周囲の組織応答過程でどのような細胞が機能しているか、組織化学的・免疫化学的解析を行う。
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Research Products
(5 results)