2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞外基質認識機構による歯周組織の恒常性維持メカニズムの解明
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17K11796
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野崎 浩佑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00507767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 亜希子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40360599)
堀内 尚紘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (90598195) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体材料 / チタニア |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科診療において近年,幅広く用いられているインプラント治療は,この歯根膜組織が存在しないため,インプラント体周囲の歯周組織のリモデリングが行われず,加齢等による生体反応への適応性が低い.また,天然歯において歯周組織は細菌感染に対するバリア機能を発揮するが,インプラントによる治療が細菌感染に対して抵抗性が低い原因も,歯周組織の欠損に由来する.酸化チタンがコーティングされたチタンインプラントは生体活性が高く,近年では,埋め込み型生体材料の第一選択の材料とされている.酸化チタンは,一般的な合成を行うと{101}面が約95%を占めるが,適切な阻害剤を用いることにより{001}面が露出した酸化チタンを合成することが可能となる.{001}面は{101}面と比較して,表面自由エネルギーが高いことから種々のイオンやたんぱく質が吸着しやすく,また,その光触媒作用が高いことが報告されている.本年度は,このような酸化チタンの合成を試み,その抗菌活性を評価した.抗菌活性の評価として,口腔内細菌であるStreptococcus mutansにたいする細胞毒性を測定した.結晶面を制御することにより抗菌活性が異なり,{001}面が52%の際に,最も抗菌活性が優れていた.またUV照射下においてチタニアナノシートにおいてリン脂質膜の酸化が認められ,UV非照射下においてはNS1.0のみリン脂質膜の酸化が認められた.また,UV照射下においては,チタニアナノシートおよびチタニアナノ粒子において細胞内酸化が認められ,UV非照射下においてはチタニアナノシートにおいて細胞内酸化が認められた.以上より,チタニアのナノシート化による高機能化が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チタニアナノシートの作製には, ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとチタンブトキシドを出発原料とし,水熱合成によりチタニアナノシートを作製した.フッ素とチタンの仕込み比を,1.0 (NS1.0),1.2(NS1.2),1.5(NS1.5),1.8(NS1.8),2.0(NS2.0)とした.なお本研究では,対照群としてチタニアナノ粒子(NP,STS-01,石原産業)を用いた.抗菌活性の評価にはStreptococcus mutansを用いて行った.前培養を行い,濁度計を用いて濃度調整を行った菌液に作製したチタニアナノシートを混和し, 30分間UV照射を行った.UV照射後,ATP法により生細菌数を測定した.また,UV非照射群として,アルミニウム箔にて遮光した菌液にチタニアナノシートを混和し,上記の方法にて抗菌活性を評価した.次に,細胞質内および細胞膜における酸化状態の評価を行う為に,同条件にてUV照射を行った細菌のH2DCFDA染色,BODIPY染色を行った.H2DCFDA染色にて細胞内酸化,C-11BODIPY染色にてリン脂質膜の酸化を評価した.抗菌活性を評価したところ,すべての試料において濃度依存的に生菌数の減少が認められ,NS1.0が低濃度で最も効果が高かった.また,NSはUV非照射下においてもNSの増加に伴い生菌数は減少したが,UV照射によりその効果が増強した.C-11BODIPY染色およびH2DCFDA染色によるリン脂質膜および細胞内酸化を評価した.UV照射下においてNS1.0およびNS2.0においてリン脂質膜の酸化が認められ,UV非照射下においてはNS1.0のみリン脂質膜の酸化が認められた.また,UV照射下においては,NS1.0,NS2.0,NPにおいて細胞内酸化が認められ,UV非照射下においてはNS1.0,NS2.0において細胞内酸化が認められた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,チタニアナノシートにより生じる酸化還元反応が細胞に及ぼす影響を再調査する.また,本研究ではチタニアナノシートによる高機能化が明らかとなったが,光触媒作用のみならずナノシート化により,細胞機能を制御することが示唆された.チタニアの光触媒作用の本体は,ナノシート表面で繰り返される電子供与であり,それらを制御することがチタニアの生体材料へ応用した際の高機能化に続くと考えられるが,NS1.0においてUV非照射にも関わらずその反応が促進したことは今後の検討課題と考えられる.また,歯科用インプラントのように体内埋め込み型のバイオマテリアルを設計する上で,粉体のような試料は適応することが困難で,その応用方法の開発が必要である.ナノ粒子のような試料はコーティングによる応用が検討されているが,本研究により得られた結晶方位が制御された材料の場合,その結晶方位の特徴を活用可能なコーティング法の利用が考えられる.また,ナノ粒子の細胞毒性は幅広く報告されており,本研究成果のような数十ナノメートルの大きさによる細胞毒性が懸念される.今後,チタニアナノシートの高機能化とともに安全な生体材料として利用する上でその材料設計の指針を提示することが必要と考えられる.
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Causes of Carryover |
本研究成果を幅広く発信するための論文発表が遅れているため,その費用として計上する予定である.
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Research Products
(12 results)