2017 Fiscal Year Research-status Report
It explores the possibility of the tisues-specific stem cell bodily injury which has an influence on the treatment prgnosis of the periimplantitis.
Project/Area Number |
17K11799
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医学 / 歯学 / インプラント周囲炎 / 細胞治療 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント周囲炎による歯周組織の破壊が再生力の低下と関連しているのではないかという仮説を立て第一の検証目標を歯肉線維芽細胞や骨膜細胞、骨芽細胞(Saos-2)と骨髄由来間葉系幹細胞(MSC-BM)の間でリポ多糖(LPS)に対する応答性の違いに置いた。 1)LPSが細胞増殖に及ぼす影響:各細胞を1x103/wellの細胞密度で96穴プレートに播種し、DMEM+1%FBS培地中(あるいは、MSC-BMはMesenPRO培地中)で24時間のpreincubationの後、48時間LPS(0.01-10 ng/mL)で処理した。細胞数はCell-counting kit-8により比色的に計測した。結果は骨芽細胞の分化度が最も高いSaos-2の増殖活性が最も強くLPSにより阻害され、MSC-BMの感度は低いものであった。しかし、これはそれぞれの細胞の有するdoubling timeによる差が影響している可能性も大きいと思われるため、更なる検討が必要である。 2)フローサイトメーターによるToll-like receptor-4 (TLR4)の発現度評価:LPS-PGに対する特異的受容体として知られているTLR4の発現程度を各細胞種ごとに解析した。その結果、MG63とNHostとMSC-BMはわずかな発現しか認められなかった。Saos-2に関しては、15-30%程度の細胞にTLR4の発現が認められるという結果になった。 3)TLR4陽性細胞のクローニング:細胞増殖とTLR4受容体の発現の相関関係を検証するために、MG63細胞からTLR4陽性細胞をクローニングする試みを行った。150以上のクローン化細胞についてフローサイトメーターによる解析を行ったが、クローニング直後に比較的高い陽性率を示した細胞集団についても継代を重ねると親細胞とほとんど変わらないレベルに減少するという結果になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
P. gingivalisのLPSが骨芽細胞や間葉系幹細胞に対して増殖抑制的に作用することは予想通りの結果であった。次年度の進展にとって基盤的データとなった。しかしその反面、年度末に参加した学会において、E. coliのLPSが増殖促進的に作用するという報告に接し、比較検討の必要を感じた。 LPSの受容体と言われるTLR4の発現について、上記の細胞種について検討し、高発現しているクローンを釣り上げるという計画を立て実施したものの、TLR4の発現は安定していないようで、得たクローンのTLR4陽性細胞の割合は継代ごとに減少したため、LPS-TLR4のシグナル伝達系の役割を明確にする実験は実施できなかった。ただし、文献的には、LPSの細胞増殖等に及ぼす影響はTLR4を介さずに、同定されていない機能的LPS受容体を介するという報告もあるため、われわれのデータが間違っているわけではないと思われる。今後は、TLR4に限定せずに、LPSの生物学的効果を検討していくことで挽回できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の推進方策を実施する。1) E. coliおよびP. gingivalis 由来LPSの歯肉線維芽細胞、骨膜細胞、骨髄・脂肪由来間葉系幹細胞、血管内皮細胞に対する効果を検討する。2)蛍光プローブを使用してLPS刺激を受けた細胞内に産生されたROSを蛍光顕微鏡で検出する。LPS濃度依存性反応の評価と細胞間比較のためフローサイトメーターによる定量化を実施してγ線照射細胞におけるROSの産生についても評価する。3) ROSが細胞生存・増殖に及ぼす影響を評価する。細胞種間での感受性については細胞ロットを複数利用して評価する。細胞の生存レベルは蛍光顕微鏡下でCalcien-AM/PI染色で半定量的に評価し、アポトーシスはTUNEL法やフローサイトメーターの細胞周期評価法により評価する。増殖が認められる場合、細胞数はコールターカウンターを用いて定量的に評価する。顕微鏡ステージチャンバーとインキュベータ内顕微モニターを稼働させて、細胞の運動活性を定量的に評価する。MSCの分化は、ホログラフィック顕微鏡による形態的な変化から評価する。4)細胞の生理的反応と病理的反応の境となるミトコンドリア内でのROSの産生レベルを蛍光プローブであるMitoSOXを用いて免疫ブロッティングや免疫蛍光染色により評価する。5)Cleaved caspase 3の発現によりアポトーシス経路の活性化を、Bcl-2/Bcl-xLの発現から抗アポトーシス活性を評価する。MAP kinaseの活性化は、ERK、p38-MAPK、JNKのリン酸化を免疫ブロッティングにより評価する。6)免疫ブロッティングまたは免疫蛍光染色にて半定量的に評価する。7)濃度依存性データを比較検討することにより、それぞれの因果関係を評価する。
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Causes of Carryover |
日本再生医療学会が3月21日から23日まで開催され、その学会参加費としての決算が当該年度使用額として決算日に間に合わず、次年度使用額として生じたためである。
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