2018 Fiscal Year Research-status Report
It explores the possibility of the tisues-specific stem cell bodily injury which has an influence on the treatment prgnosis of the periimplantitis.
Project/Area Number |
17K11799
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医学 / 歯学 / インプラント周囲炎 / 細胞治療 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
未分化の間葉系幹細胞においても成熟した骨芽細胞においてもLPSの受容体であるTLR-4の発現は低く、LPSによる増殖阻害も20%程度であった。この結果は仮説と解離したので検証実験を行ったところ同様の結果を得た。培養系において、LPSと複合体を形成する可溶性LPB (LPS-binding protein)と可溶性CD14 の不足と考えた。LPBとCD14 を培養系に添加してLPSによる増殖阻害効果を検討した。効果が顕著になる傾向も認めたが再現性に乏しく、培地の成分を検討して最適な実験条件を確立する。 一方、インプラント周囲炎の病因は、インプラント表面へのバイオフィルムの形成とLPSの吸着にある。表面が滑沢な純チタン板と表面に微細構造を付与した純チタン板を材料として、これらに対する各種接着タンパクの吸着性を検討した。接着タンパクはfibronectin (FN), fibrinogen (FGN), von Willebrand factor (vWF), vitronectin (VN)とし、対照としてアルブミン(Alb)として検討した。結果はFGNがもっともチタン表面に吸着しやすく、それは同時に添加したAlbによって阻害されない。ただし、事前にチタン表面にコートされたbovine serum albumin (BSA)によって強力に阻害されることが判明した。FNやvWFもチタンへの親和性は高く血小板はこれらの接着タンパクを介してチタン表面と接着することも明らかになった。LPSについては,増殖阻害実験に用いたP.gingivalis由来LPS抗体が入手できないので吸着度を定量化出来なかった。しかし、E.Coli由来LPS抗体は入手できることから次年度の課題とすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年来の細胞増殖に対する効果は、可溶性関連因子の添加によっても大きな改善は見られなかった。具体的には、LPSの情報伝達に関与する因子のなかで細胞内に含まれるもの以外で、細胞外に浮遊性に存在して関与するといわれるLPS-binding protein (LPB)とCD14を培地に適当量添加することで情報伝達をより確実な状態に再構成しようと試みた。しかし、P.gingivlisのLPSが骨芽細胞や骨髄由来間葉系幹細胞の増殖に及ぼす影響に大きな変動は見られなかった。 しかし,研究課題のもうひとつの中心である純チタン表面に対する各種接着因子(タンパク)の親和性の違いについては予想外な進捗が見られた。具体的には Fibronectin(FN)やvon Willebrand factor(vWF)やfibrinogen(FGN)などの血漿中に含まれる細胞接着因子が、血漿中にもっとも多く含まれるalbumin(Alb)に対してより高い親和性をもってチタン表面に吸着することを実証できた。vWFやFGNは血小板の接着に大いに関与しているものの骨芽細胞などの付着細胞系の接着にはあまり関与していないと考えられている。一方、幹細胞の接着に重要な役割を果たすとされるvitronectin(VN)に関しては、チタン表面への吸着が相対的に少量であることが判明した。これまではプラスチックディッシュ上での細胞増殖ばかりに目がとらわれていたが、今後は基材をチタンに移して細胞接着という機能面からLPSの増殖に及ぼす影響を検討することで遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいる実験を優先的に実施することで、停滞している課題についても解決の糸口を見出すことが可能なこともある。ここでは、チタン板とLPSの吸着親和性を他の接着因子との相対的な評価をすることを中心に進めたい。具体的には、以下の推進方策を実施する。1) Fibronectin (FN)やvon Willebrand factor(vWF)および collagenなどの接着因と比較して、LPSのチタン表面への吸着親和を評価する。LPSは抗体の入手が可能なE. coli由来のものとし、評価方法はそれぞれの特異的抗体をもちいた免疫蛍光染色法(IF)による。2) E. coli由来LPSをチタン表面にコートした状態で、骨芽細胞、骨膜細胞、骨髄・脂肪由来間葉系幹細胞の増殖に及ぼす影響を検討する。3) 上記実験系に可溶性因子(LPB (LPS-binding protein)やCD14)を添加して、LPSが細胞増殖に及ぼす影響を検討する。4) 上記の実験で、期待した様な明らかな効果が見られた場合、蛍光プローブを使用して細胞内に産生された活性酸素(ROS)を蛍光顕微鏡で検出を試みる。5) チタン表面をコートするLPSの濃度依存性データと細胞増殖のデータを比較検討することにより、相関関係・因果関係を分析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は研究の進捗状況がやや遅れており当初予定した研究消耗品費の使用が満たされなかったためである。使用計画は研究消耗品費として細胞、細胞培養関連試薬類、抗体類、一般試薬類、プラスチック器具類、測定キット、成果報告費として、ミャンマー歯科医師会での講演、国内学会(日本再生医療学会、日本歯周病学会、日本歯科保存学会)での発表、英文雑誌投稿費用を予定している。
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