2018 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素代謝リプログラミングを応用した培養口腔粘膜の品質向上
Project/Area Number |
17K11800
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大貫 尚志 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90568552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
加藤 寛子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70749994) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸素生物学 / メタボロミクス / 口腔ケラチノサイト / 口腔ファイブロブラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
生体組織の酸素濃度は生理学的な状態でも大気中酸素よりも低いが、創傷治癒、がん、などの病理学的な状態でも低酸素状態を示す。体性幹細胞は、生体組織中のより低酸素な微小環境に存在し、それらはin vitroで低酸素培養条件を好む。 口腔粘膜は再生医療の細胞ソースとして優れた組織であり、再生医療への応用には細胞培養下でのstemnessの維持が重要である。以前、我々は低酸素培養が初代口腔ケラチノサイトを未分化状態と抗老化を維持し、それらのクローン形成能を亢進させるため、低酸素培養が細胞培養に有用であることを示した。低酸素培養において代謝リプログラミングは幹細胞生物学や病理学的な知見からも重要であるが、口腔粘膜上皮、線維芽細胞に関する報告はない。 したがって、本研究の目的は、口腔粘膜上皮、線維芽細胞の低酸素下における代謝を明らかにすることとした。口腔粘膜ケラチノサイトでは低酸素で解糖系やペントースリン酸回路が上昇、ポリアミン産生が低下しており、これまでに報告されていた幹細胞や未分化なケラチノサイトの代謝様式と矛盾がない結果であった。口腔ファイブロブラストにおいては低酸素下で代謝は全体的に低下しておりパスウェイとしては大きな変化がなかった。一方、抗酸化の役割を持つ2-oxoglutarate (Alpha-ketoglutarate; α-KG)が増加しており、細胞生存や抗老化に関与している可能性が考えられた。このように、我々は初めて低酸素培養下の口腔ケラチノサイト、ファイブロブラストのメタボロミクスを行い代謝リプログラミングのオーバービューを明らかにした。
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