2017 Fiscal Year Research-status Report
新規マーカー解析による前駆細胞の機能に着目した歯髄再生メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K11812
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小林 朋子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10548283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 優則 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50130688)
筒井 健夫 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (70366764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 多分化能 / マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究目的である、細胞培養上清のプロテオーム解析による幹細胞の組織再生を促進するサイトカインの特定を目標として研究を行った。 まず、歯髄細胞中に含まれる歯髄幹細胞と歯髄前駆細胞の割合を調べるため、フローサイトメトリーにより以下のマーカー分子の発現を調べた(ICAM1(CD54)、ITGA8、CD146、CD105、CD90、CD73、CD14、CD79α、CD34、CD45、HLA-DR、STRO-1)。5継代目の歯髄細胞では、申請者らが幹細胞マーカー候補としているICAM1は約30%の細胞で陽性であったが、前駆細胞マーカー候補としているITGA8を発現している細胞は1%以下であった。また、歯髄細胞の85%以上の細胞がCD146を発現しており、CD105、CD90、CD73はそれぞれ99%以上の細胞が発現していた。一方、CD14、CD79α、CD34、CD45、HLA-DRを発現している細胞はそれぞれ1%以下であった。上記の結果より、5継代目の歯髄細胞は、通常培養条件下ではほとんどの細胞が間葉系幹細胞の表現型を示すことが明らかとなった(Cytotherapy 2006;8:315)。なお、間葉系幹細胞マーカー分子として報告されているSTRO-1を発現している細胞は、5継代目の歯髄細胞では3.5%程度であった。 さらに、平成29年度は歯髄細胞集団からICAM1とITGA8を発現している細胞をそれぞれ磁気細胞分離法(MACS)で分離培養する条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予期したよりも、前駆細胞マーカー候補分子を発現している細胞の割合が低かったため、別の分離方法を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らが前駆細胞マーカーとしているITGA8を発現している細胞は、5継代目の歯髄細胞の通常培養条件下ではほとんど存在しないことが判明した。今後は、継代の進んだ細胞集団や分化誘導の進んだ細胞集団で、ITGA8発現細胞の割合がどのように変化するか解析を行う。また、幹細胞マーカー候補のICAM1と前駆細胞マーカーITGA8を発現する細胞をそれぞれ分離し、単独培養と共培養の条件における分化誘導効率の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、歯髄細胞から幹細胞集団と前駆細胞集団を分離する方法の検討を行った。次年度は、幹細胞集団と前駆細胞集団それぞれの細胞培養上清のプロテオーム解析を行う予定であり、その解析費用に充てるため次年度に繰り越させていただいた。
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