2017 Fiscal Year Research-status Report
生体材料インターフェイスにおける末梢概日リズムの可逆性分子機構の解明
Project/Area Number |
17K11819
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
森永 健三 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (10509061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 寛史 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (90169897)
渡津 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90358375)
寺岡 啓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00357542)
園田 勉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (80357334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オッセオインテグレーション / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラントの成功はオッセオインテグレーションに大きく依存するが,そのメカニズムは未だ完全に解明されていない.本年度は,NPAS2がオッセオインテグレーションの確立に重要な役割を持つという仮説のもと,NPAS2 KOマウスを用いてインプラントのオッセオインテグレーションを評価し,NPAS2の役割を検証した. C57Bl6J野生型マウス(WT)およびNPAS2 KOマウスから大腿骨を採取し,骨長の測定とmicro CTによる骨形態計測でそれぞれ比較した.また,10~15週齢の雄のWTおよびNPAS2 KOマウスの左右の大腿骨に,機械研磨表面とsandblasting and acid-etching (SLA)表面の実験用インプラント(直径0.6mm,長さ4mm)を埋入した.埋入から3週間後に試料を採取し,micro CT,骨-インプラント接触率(BIC),push-out testおよびSEM/EDSでオッセオインテグレーションの評価を行った.NPAS2の遺伝子欠損は大腿骨のサイズや海綿骨形態に影響を与えなかった.SLAインプラントのpush-out値はNPAS2 KOマウス群で有意に減少した(P<0.05).一方,機械研磨表面のインプラントでは差は認めなかった. SEM/EDSの解析では,SLAインプラントのNPAS2 KOマウス群はWT群に比べてチタン表面の露出率が高く(P<0.05),さらにインプラント界面骨組織のCa/P比が低く,コラーゲンの線維構造もみられなかった.NPAS2はオッセオインテグレーションの確立に重要な役割を持つことが明らかになった.本研究結果は,チタン生体材料の粗面構造に起因する末梢時計経路の局所調節が,オッセオインテグレーションの確立に寄与しており,オッセオインテグレーションの分子生物学的解明の新たな手掛かりになることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験の段階で、本年度に行う実験のプロトコルおよび実施に際して問題となる事象はないことを確認しており、実施の際にも特に予期しない問題等が起こることはなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
産業技術総合研究所が有するDC マグネトロンスパッタリング法を用いた金属コーティング技術を用いて,細胞培養用のプラスチックプレートに,Ti-6Al-4V に代表される様々なチタン合金をコーティングする予定である。スパッタリングのコーティングでは厚さのコントロールが困難なため、本件について入念な予備実験を行う。
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Causes of Carryover |
次年度に実施予定の実験に対する予備実験を行う予定であったが、スケジュールが遅れ実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に予定通り予備実験を行い、その際の機材購入費に充てる予定である。
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