2019 Fiscal Year Research-status Report
効率的な抗がん剤治療を目指したPET低酸素分子イメージングと腫瘍血管の対比検討
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17K11820
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 講師 (60319069)
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90250464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍血管新生 / 低酸素 / FMISO-PET |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍血管新生と低酸素は密接な関係がある。以前から低酸素状態は固形癌の重要な予後因子のひとつと考えられている。癌は低酸素状態では放射線感受性の低下を示す。固形癌の進展に伴い腫瘍血管の形態異常をきたすと、腫瘍のある部分で血液潅流はいわゆる「只漏れ状態」なることがある。 腫瘍微小環境では、周囲の正常組織より際立って組織内の血液の灌流が低くなっている可能性がある。そのため有効な血液循環が得られず、酸素供給が減少し、低酸素環境をもたらす。低酸素が腫瘍進行と免疫抑制を促進して、癌細胞が浸潤能・運動能を高めることが知られている。 申請者は癌の転移研究、腫瘍血管の特異性と腫瘍微小環境における低酸素状態の研究を継続して行ってきた 。(Kondoh.M, Ohga.N,HIda.K et al PLoS One*:equally contributed 2013)。 2019年秋、低酸素研究(低酸素誘導因子:HIF)の第一人者らがノーベル賞を受賞し、低酸素研究はさらに注目を浴びている。申請者は腫瘍血管新生の亢進と低酸素状態が関連することを腫瘍組織の低酸素状態を反映するFMISO-PETを用いて、口腔癌症例で報告してきた。 (2017年 日本口腔外科学会 第2回日中国際シンポジウム Young doctor competition 第2位入賞、2019年 アメリカ口腔内科学会(AAOM)発表、Kitagawa.Y, Ohga.N et al Jpn Dent Sci Rev 2019 ) 。 低酸素状態を標識するFMISO-PETで口腔癌症例を検討したところ、低酸素状態にさらされた口腔癌症例では、腫瘍血管密度(MVD:microvascular vessel density)が非低酸素口腔癌症例るよりも高かった。また腫瘍血管新生が旺盛であるにもかかわらず、形態的に扁平で、つぶれたような未熟血管(immature vessel)が多かった。その結果、低酸素口腔癌症例では、腫瘍血管新生が比較的旺盛であったにもかかわらず、有効な血液循環が得られずに低酸素状態が持続している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌でFMISO- PETを撮像し、CD31を免疫染色できた症例を数を増やすことができた。 2019年のAAOM(アメリカ口腔内科学会)でこれまでの研究成果を発表することができた。 以下発表演題 「Relationship among hypoxia, FMISO-PET uptake, and tumor angiogenesis in oral squamous cell carcinoma (OSCC)」
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Strategy for Future Research Activity |
今後、PETを撮像した口腔癌の症例数を増やして解析を行う。 腫瘍血管の形態的特徴を精査するため、αSMA、CD144などの免疫染色を追加する。また血管新生関連因子であるVEGF、HIF-1αも検討したい。これまでのデータをまとめて、臨床的パラメータとの相関を検討する。以下の臨床的パラメータを検討中である。 具体的な評価項目:患者の性別、原発部位、臨床病期、組織学的悪性度(分化度、浸潤様式による分類)、発育様式、腫瘍組織grade、T分類、リンパ球浸潤の程度、リンパ節転移の有無、臨床ステージ、局所再発の有無、遠隔転移の有無、CD31染色による腫瘍血管新生の評価(微小血管密度で評価)、HIF1-α(低酸素誘導因子)の発現、腫瘍血管の形態 (未熟血管?、成熟血管?:CD31(内皮細胞)とαSMA(ペリサイト))。 以上の項目を多変量解析して、頸部リンパ節後発転移の有無、生命予後の関係を解析・評価する。統計解析ソフトにはJMPを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
本学医学研究院 核医学講座とさらに連携して、FMISO-PETを撮像した口腔癌症例も増やして解析したいため、次年度使用額が生じた。
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[Journal Article] Imaging modalities for drug-related osteonecrosis of the jaw (3), Positron emission tomography imaging for the diagnosis of medication-related osteonecrosis of the jaw.2019
Author(s)
Kitagawa Y, Ohga N, Asaka T, Sato J, Hata H, Helman J, Tsuboi K, Amizuka N, Kuge Y, Shiga T
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Journal Title
Jpn Dent Sci Rev
Volume: 55(1)
Pages: 65-70
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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