2017 Fiscal Year Research-status Report
骨吸収抑制剤の休薬は顎骨壊死発症の予防に有効か?マウスによる検討
Project/Area Number |
17K11821
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80180066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯学 / 薬剤関連顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨吸収抑制剤であるビスフォスフォネート(BP)やデノスマブに関連した顎骨壊死(Medication related osteonecrosis of the jaw; MRONJ)は、蓄積された多くの症例による疫学的ならびに病理学的な解析により、予防策あるいは対応策が少しずつ明らかになりつつあるが、未だに統一見解のある治療法は確立していない。特に、すでに骨吸収抑制剤服用中の患者に対する、骨吸収抑制剤の休薬の有効性については様々な議論が存在している。そこで本研究では、骨吸収抑制剤の休薬が顎骨壊死の発症リスクを低減するか、顎骨壊死発症モデルマウスを用いて、検討を行った。 実験には抗マウスRANKLモノクローナル抗体(デノスマブはヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤で、マウスのRANKLとは結合しないので、抗マウスRANKLモノクローナル抗体を使用)を腹腔内に投与した。抗RANKL抗体投与直後、2ヶ月後、6ヶ月後のマウスに対して、それぞれ上顎第1臼歯の抜歯を行い、抜歯4週後に安楽死させ、抜歯部位に発症する顎骨壊死の状態について検討を行った。抗体投与直後に抜歯を行った群では、抜歯窩閉鎖不全を伴う歯槽骨の露出と、病理切片において抜歯窩周囲の歯槽骨における骨細胞の消失といった典型的な顎骨壊死の所見が観察された。一方、抗体投与2ヶ月後および6ヶ月後に抜歯を行った群では、全てのマウスにおいて抜歯窩の上皮は完全に閉鎖し歯槽骨の露出は確認されなかったが、病理切片において歯槽骨の一部に骨細胞が消失していることが観察された。以上の結果から、抗マウスRANKLモノクローナル抗体の休薬後もMRONJの症状が発症する可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。国内外の有識者との研究内容の討論も行っている。また、抗RANKL抗体投与後の休薬期間を継続している。今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗マウスRANKLモノクローナル抗体の休薬後における免疫学的解析、組織学的解析を進め、細胞レベルでの詳細な検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品費においてキャンペーン品や特別価格などがあり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。未使用額14,878円については、平成30年度の実験のための消耗品費に使用する。
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