2017 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛徐放性チタンスキャフォールドと歯髄幹細胞による薬剤関連顎骨壊死治療法の開発
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17K11825
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
遊佐 和之 山形大学, 医学部, 医員 (80636960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 雅幸 秋田大学, 医学部, 准教授 (20272049)
飯野 光喜 山形大学, 医学部, 教授 (50212717)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨再生 / 薬剤関連顎骨壊死 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 分子生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者がこれまで開発・報告してきた骨再生の技術を用いて薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw; MRONJ)の治療法を構築することを目的とする。MRONJは2003年にMarxがビスフォスフォネート(bisphosphonate; BP)製剤投与患者における顎骨壊死を報告して以来、BPとは作用機序が異なる抗RANKL抗体(デノスマブ; Dmab)や血管新生阻害薬(ベバシズマブ; BEV)に関連する顎骨壊死も報告され、本邦を含め世界的に症例数は増加の一途を辿っていると同時に発症すると難治性であり臨床上大きな問題となっている。これまでの基礎的・臨床的研究の結果、①骨芽細胞機能抑制とそれに伴うRANKL産生低下や②破骨細胞分化抑制および③血管新生抑制がその一因と考えられており骨芽細胞が担う骨形成およびRANKL、OPGによる破骨細胞誘導と破骨細胞が担う骨吸収などの正常骨でみられる骨リモデリングのバランスが崩壊することがMRONJの発症・増悪につながることが指摘されている。以上の知見から正常骨と同様の骨リモデリングを回復させることがMRONJの根本的治療において重要である事が想定される。申請者らはこれまで亜鉛の骨芽細胞および骨形成に対する作用に着目し、新規骨再生療法の開発を目的としてチタンに亜鉛修飾処置を施した亜鉛徐放性チタンスディスク上で歯髄幹細胞を培養した結果、骨芽細胞分化および基質石灰化の亢進が観察されることを報告してきた。 そこで、本研究ではMRONJの根本的治療を目的として亜鉛徐放性チタンスキャフォールドおよび歯髄幹細胞の複合体を応用することで、骨リモデリングを促進する新たなMRONJ治療を構築する事を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はMRONJのin vitroモデルを作製し、その解析を行った。in vitro MRONJモデルはマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)に1,10,100μMのゾレドロン酸を添加するとともにガラスシャーレおよび鉛玉を用いて2,4g/cm2の圧縮ストレスを負荷して培養を行った。100μM添加群はいずれの細胞においても著明な細胞死を認めた。一方で、1-10μMのゾレドロン酸添加群ではゾレドロン酸の添加濃度および圧縮ストレスの有無による細胞生存率の著明な変化は認めなかった。 また培養21日目にアリザリンレッド染色による基質石灰化の評価を行った。4g/cm2の圧縮不可および1-10μMのゾレドロン酸添加が基質石灰化を減弱させることが確認された。 以上の結果よりゾレドロン酸の投与および咬合力等の力学的負荷が顎骨における骨芽細胞分化を抑制し結果としてMRONJ発症、増悪に寄与することが想定された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験結果によりゾレドロン酸添加および圧縮ストレスがMRONJ発症、増悪に寄与することが示唆された。次年度以降で遺伝学的メカニズムの解析を進めるとともに、亜鉛徐放性チタンスキャフォールドおよび歯髄幹細胞複合体との共培養とその結果を踏まえた上でin vivoにおける移植実験を予定している。
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Research Products
(3 results)