2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation on the molecular mechanisms of the carcinogenesis, invasion, and metastasis of oral cancer via DeltaNp63-mediated epithelial-mesenchymal transition
Project/Area Number |
17K11845
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 良太 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (60615798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 真太郎 九州大学, 大学病院, 准教授 (00398067)
神野 哲平 九州大学, 大学病院, 助教 (60755247)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 上皮ー間葉転換 / ΔNp63 / PAR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、正常個体の器官形成期に必須の現象である上皮-間葉転換(epithelial-mesenchymal transition: EMT)が癌の浸潤・転移に関与していることが示唆されている。また EMT が癌細胞に誘導されることにより、癌幹細胞様の形質を獲得することも明らかにされつつある。しかしながら、癌の発生および浸潤・転移における EMT の詳細な分子機構についてはいまだ不明な点が多い。 本研究では EMT を制御する分子として癌抑制遺伝子 p53 のホモログの一つである ΔNp63 に着目し、これまで研究を遂行してきた。本研究では、ΔNp63 による EMT を介した口腔扁平上皮癌の発生および浸潤・転移能の獲得機構を分子生物学的に解明することを目的とする。 今回われわれは、口腔扁平上皮癌(OSCC)における ΔNp63 とGタンパク共役 7 回膜貫通型受容体の 1 つで、thrombin receptor とも言われており、いくつかの癌種で発現していることが報告されている protease-activated protein(PAR)1との関連について検討した。 その結果、腫瘍細胞および間質細胞に PAR1 の発現を認めた症例では、頸部リンパ節転移の発生率や組織学的悪性度が有意に高く、また、浸潤先端部の腫瘍細胞における PAR1 の発現は、ΔNp63 の発現と逆相関していた。以上のことより、ΔNp63 の発現減弱により PAR の発現が増強し、EMT を誘導することで、OSCC の進展に寄与していることが示唆された。
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