2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔がん微小環境内のがん幹細胞と腫瘍関連マクロファージの機能解析と新たな治療戦略
Project/Area Number |
17K11854
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
里見 貴史 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (70276921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通秀 東京医科大学, 医学部, 助教 (00421066)
古賀 陽子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10392408)
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30343122)
渡辺 正人 東京医科大学, 医学部, 臨床講師 (40349460)
長谷川 温 東京医科大学, 医学部, 助教 (50424619)
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (90276709)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔がん / がん幹細胞 / 腫瘍関連マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織再現能をもち、抗癌剤や放射線への抵抗性を有し、再発・転移の最大原因と考えられているがん幹細胞(Cancer stem cell: CSC)に注目した新たな口腔癌に対する治療法の開発を目指した研究である。 CSCは「静止期」と呼ばれる冬眠状態にとどまっており、細胞増殖をほとんど行っていない。そのため、従来の癌細胞の増殖抑制を目的とした治療では、静止期に維持されているCSCに効果を発揮できない。従って、CSCを静止期から増殖期に移行させる治療の開発が直近の課題となっている。本研究は、口腔癌微小環境内におけるCSCとCSCを静止期から増殖期に移行させる重要な鍵を握ると思われる腫瘍関連マクロファージ(Tumor associated macrophage: TAM)との相互作用を解析する。さらに、CSCにおけるPI3K/Akt/mTOR経路とTAMにおける活性経路の双方からアプローチし、治療抵抗性を示す口腔癌に対する新たな治療法の開発を目指している。現在までに、In vitroの実験でマウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)およびヒト由来リンパ節転移口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma: OSCC)細胞株(HSC-3)とリンパ節非転移OSCC細胞株(HSC-2)を用いたIn vitroでスフェロイド形成能を持つCSCの分離培養実験を継続中である。一方In vivoの実験では、マウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)を2×107/mlに調整し、C3Hマウスの口腔内(舌、歯肉)もしくは咬筋内に移植し、口腔癌浸潤モデルマウスの作製に成功し、また、同様に高リンパ節転移OSCC細胞株においても、無胸腺マウスの口腔内(舌、歯肉)もしくは咬筋内に移植し、口腔癌リンパ節転移モデルマウスの作製にも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年4月、東京医科大学口腔外科学分野から日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座に転職し、研究環境が大きく変わったことで研究に大幅な遅れが生じた。日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座の主な研究はインプラント表面性状に関する研究等であり、着任して直ちに細胞培養を行う研究環境の整備に取りかかり、その後順調に培養実験を稼働させるのに時間を要した。また、研究の内容としてはCD44陽性腫瘍細胞とCD44陰性腫瘍細胞との分取は可能であったが、Rho kinase阻害剤を添加したES細胞用の無血清培地を使用してCD44陽性腫瘍細胞に対してスフェロイド形成能を有する状態にすることができなかったことが、研究を停滞させた大きな原因であった。現在、研究分担者と原因を追究中である。そのため、平成30年度の研究計画を平成31年度に行うことになり、このような理由から平成30年度の研究経費の大部分は平成31年度に繰り越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者と共同で培地等の改良を行い、In vitroでスフェロイド形成能を持ったCD44発現CSCの単独培養を試みる。Western blot法およびreal-time PCRを用いて、CSC特性としてのCD44発現、Nanog等の幹細胞に特有な遺伝子発現、血清添加培地でCD44陰性の上皮性腫瘍細胞への分化能を有しているかを検討する。さらに免疫不全マウスに移植し、原発口腔癌と区別できない腫瘍形成を有しているかも検討する。そして液性因子(IL-6, MFG-E8)やmTOR阻害剤(Rapamycin)によるCSC activation抑制効果を解析する。一方In vivoでは、マウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)の口腔癌浸潤モデルマウスと口腔癌リンパ節転移モデルマウスをそれぞれコントロール群、CSF-1R阻害剤投与群、mTOR阻害剤投与群の3群、計6群で抗腫瘍効果、リンパ節転移抑制効果、CSC activation抑制効果と予後(生存日数)について比較検討を行う。CSF-1R阻害剤(PLX3397)、mTOR阻害剤(Rapamycin)によるTAM発現の解析については、F4/80およびCD163,CD204,CSF-1R(CD115)の発現を免疫組織化学染色法およびin situ hybridization法を用いて行う。mTOR阻害剤投与群、CSF-1R阻害剤投与群、コントロール群の3群でTAM局在や発現強度について比較検討する。また、腫瘍微小環境内におけるVEGF-C,COX-2,NF-κB,CSF-1,TNF,IL-6, MFG-E8,CD44,CD133の発現について免疫組織化学染色法およびin situ hybridization法を用いて評価する。
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Causes of Carryover |
平成30年4月に東京医科大学口腔外科学分野から日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座に転職し研究環境が大きく変わり、研究の環境整備に時間がかかり、またCD44陽性腫瘍細胞に対してスフェロイド形成能を有する状態にできなかったことで、研究が停滞し次年度に使用額が生じた。 今年度は、In vitroでスフェロイド形成能CD44発現細胞に対して、Western blot法およびreal-time PCRを用いて、幹細胞に特有な遺伝子発現、血清添加培地でCD44陰性の上皮性腫瘍細胞への分化能を有しているかを検討する。さらに免疫不全マウスに移植し、原発口腔癌と区別できない腫瘍形成を有しているかも検討する。そして液性因子やmTOR阻害剤によるCSC activation抑制効果を解析する。 一方In vivoで、口腔癌浸潤モデルマウスと口腔癌リンパ節転移モデルマウスを用いて、抗腫瘍効果、リンパ節転移抑制効果、CSC activation抑制効果と予後について比較検討を行う。CSF-1R阻害剤やmTOR阻害剤を使用して腫瘍および転移リンパ節の病理組織学的検討を行う。TAM発現およびVEGF-C,COX-2,NF-κB,CSF-1,TNF,IL-6,MFG-E8,CD44,CD133の mRNAをreal-time PCRで定性・定量する。タンパクレベルでの発現をWestern blot法で検討する。CSF-1R阻害剤、mTOR阻害剤によるTAM発現の解析については、F4/80およびCD163,CD204,CSF-1Rの発現を免疫組織化学染色法およびin situ hybridization法を用いて行う。
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