2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔がん微小環境内のがん幹細胞と腫瘍関連マクロファージの機能解析と新たな治療戦略
Project/Area Number |
17K11854
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
里見 貴史 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (70276921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通秀 東京医科大学, 医学部, 講師 (00421066)
古賀 陽子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10392408)
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30343122)
渡辺 正人 東京医科大学, 医学部, 兼任准教授 (40349460)
長谷川 温 東京医科大学, 医学部, 講師 (50424619)
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (90276709)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 癌幹細胞 / 腫瘍関連マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織再現能をもち、抗癌剤や放射線への抵抗性を有し、再発・転移の最大原因と考えられているがん幹細胞(Cancer stem cell: CSC)に注目した新たな口腔癌に対する治療法の開発を目指した研究である。 本研究は、口腔癌微小環境内におけるCSCとCSCを静止期から増殖期に移行させる重要な鍵を握ると思われる腫瘍関連マクロファージ(Tumor associated macrophage: TAM)との相互作用を解析する。さらに、CSCにおけるPI3K/Akt/mTOR経路とTAMにおける活性経路の双方からアプローチし、治療抵抗性を示す口腔癌に対する新たな治療法の開発を目指している。 マウス由来の扁平上皮癌株(SCCⅦ)およびヒト由来リンパ節転移口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma: OSCC)細胞株(HSC-3)とリンパ節非転移OSCC細胞株(HSC-2)を用いたIn vitro実験でスフェロイド形成能を持ったCD44発現CSCを用いて、液性因子(IL-6, MFG-E8)やmTOR阻害剤(Rapamycin)によるCSC activation抑制効果を解析する。さらにIn vivoで口腔癌浸潤モデルマウスの作製に成功し、CSCに対する治療として、CSF-1/CSF-1Rシグナルをターゲットに、CSF-1R阻害剤(PLX3397)を用いてTAM活性を抑制した効果とPI3K/Akt/mTOR経路をmTOR阻害剤(Rapamycin)で直接抑制した効果について比較検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)およびヒト由来リンパ節転移口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma: OSCC)細胞株(HSC-3)とリンパ節非転移OSCC細胞株(HSC-2)を用いたIn vitroでスフェロイド形成能を持つCSCの分離培養実験を行った。SCC7細胞株,HSC-3細胞株, HSC-2細胞株とも、スフェロイド形成能CD44発現細胞に対して、Western blot法、cDNAマイクロアレイおよびreal-time PCRを用いて、幹細胞に特有な遺伝子発現、血清添加培地でCD44陰性の上皮性腫瘍細胞への分化能を検討した。一方In vivoでは、マウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)を2×107/mlに調整し、C3Hマウスの口腔内(舌、歯肉)もしくは咬筋内に50μl注入し、口腔癌浸潤モデルマウスの作製に成功し、CSCに対する治療として、CSF-1/CSF-1Rシグナルをターゲットに、CSF-1R阻害剤(PLX3397)を用いてTAM活性を抑制した効果とPI3K/Akt/mTOR経路をmTOR阻害剤(Rapamycin)で直接抑制した効果について比較検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス由来の扁平上皮癌株(SCC7)の口腔癌浸潤モデルマウスと口腔癌リンパ節転移モデルマウスをそれぞれコントロール群、CSF-1R阻害剤投与群、mTOR阻害剤投与群に分類して、抗腫瘍効果、リンパ節転移抑制効果、CSC activation抑制効果と予後(生存日数)について比較検討を行う。CSF-1R阻害剤投与群、mTOR阻害剤投与群、コントロール群を屠殺し、腫瘍およびリンパ節を摘出し、病理組織学的検討を行う。抗腫瘍効果、リンパ節転移の有無、TAM(CD163,CD204)発現およびVEGF-C,COX-2,NF-κB,CSF-1,TNF,IL-6,MFG-E8,CD44,CD133の mRNAをreal-time PCRで定性・定量する。タンパクレベルでの発現をWestern blot法で検討する。CSF-1R阻害剤(PLX3397)、mTOR阻害剤(Rapamycin)によるTAM発現の解析については、F4/80およびCD163,CD204,CSF-1R(CD115)の発現を免疫組織化学染色法およびin situ hybridization法を用いて行う。mTOR阻害剤投与群、CSF-1R阻害剤投与群、コントロール群でTAM局在や発現強度について比較検討する。また、腫瘍微小環境内におけるVEGF-C,COX-2,NF-κB,CSF-1,TNF,IL-6, MFG-E8,CD44,CD133の発現について免疫組織化学染色法およびin situ hybridization法を用いて評価検討する。原発巣のCD44発現とTAM(CD163,CD204)発現およびVEGF-C, COX-2,NF-κB,CSF-1,TNF,IL-6,MFG-E8発現の関連性についても検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響で動物実験が大幅に遅延した。動物実験は、一時完全停止したため、年度末から新規スタートした。現在、昨年度の研究開始時期と同じ状況である。そのため、研究期間の延長を申請した。 本来、一昨年度(研究計画の最終年度)に計上していた in vivo実験における実験動物の購入費用や免疫組織化学染色における試薬(抗体等)およびin situ hybridization法にかかる費用等を繰り越しており、本年度は、その繰り越し費用を研究に使用する。
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