2017 Fiscal Year Research-status Report
エクソーム解析による口唇口蓋裂のリスク遺伝子と組織特異的体細胞モザイクの探索
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17K11863
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (30468996)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソーム / 口唇口蓋裂 / モザイク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、体細胞モザイク変異が口唇口蓋裂の発生に関与しているかを明らかにすることである。現在まで、申請者らの共同研究施設で行われた白血球由来のDNAに対する大規模な家系解析研究で100を超える候補遺伝子が同定された。しかしながらその後の確認研究では総サンプル数の約5%のみでしか遺伝子変異を見いだせなかった。この『missing heritability』(失われた遺伝性)は口唇裂部の組織特異的な体細胞モザイクによるものであるとの仮説を検証する。 具体的な研究項目は、1) 白血球由来のDNAに対して高深度エクソーム解析を行う2) 口唇裂部軟組織のDNAに対して高深度エクソーム解析を行う3) 白血球由来のDNAと口唇裂部軟組織のDNAにおける遺伝子変異を比較する、の3つである。 平成29年度はサンプル調整を主に行っている。20名の非症候性両側性口唇口蓋裂に対する手術で得られた血液および唾液由来のDNAと組織由来のDNAを抽出している。米国との共同研究では科学的データとして、口唇裂と口唇口蓋裂には共通した疫学があるにもかかわらず、いくつかの遺伝子調節因子が表現系形成に関与していることが示唆された。我々はゲノム関連解析を世界の13カ国、口唇裂450人と口唇口蓋裂1692人について直接比較した。遺伝子スキャンでは発現率1%以下の遺伝子バリアントが3つの遺伝子(C8orf34, TMEM246, とCDC42EP3)に認められ、統計学的に有意に関連していた。発現率が1%以上であるSNPsについては、染色体16q21に非常に強い相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非症候性の日本人両側性口唇口蓋裂患者20人(末梢血液もしくは唾液20検体および組織20検体)のDNAを抽出している。 血液検体は-80℃下にて冷凍保存もしくはDNA保存液であるDNA/RNA Shield(Zymo Research社)にて高度に保存された試料よりDNAを抽出する。抽出には最適で素早く抽出できるQiagen社製のQIAamp® DNA mini Kitおよび QIAamp® DNA Blood Midi Kitを用いる。手術で得られた口唇披裂縁部組織は組織保存液(Allprotect® Tissue Reagent、Qiagen社)を用いて-20℃にて保存されており、DNAの破損を抑えている。組織からのDNA抽出についてはGentra Puregene Tissue Kit(Qiagen社)を用いることにより、高純度で 100 ~ 200 kbの長鎖のDNA断片を得ている。いくつかのサンプルについてはエクソーム解析に耐えうる適正濃度(100 ng/μL以上であり合計 10μg以上、200kbに相当する長鎖)に達しなかったため、新規の組織を調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたDNA断片に対してSureSelect Target Enrichment Human All exon V6+UTR(Agilent社)kitもしくは類似製品を用いてエクソンの濃縮化を行い、次世代シークエンサーであるHiseq2500(Illumina社)でシークエンスする。データの調整(アノテーション)をCLC workbench、解析パイプラインは無料で提供されているGATK(Broadinstitute提供)を用いる。モザイク変異の検出力を高めるために平均読み深度を最大200depthと設定し、データの信頼度は99.99%と設定する。高深度エクソーム解析の手順は下記の2つを行う。 1)白血球由来DNAのエクソーム解析を行う。 2)組織由来DNAのエクソーム解析を行う。 各同一個体内の解析結果を比較し組織特異的体細胞モザイクの有無を確認し、同定されたモザイク変異のタンパク質が口腔顔面領域に発現しているかをWebのSysFaceを用いて確認する。そして検出した遺伝子変異についてはタンパク質構造変異予想データベースであるPolyPhen2にて影響度を確認する。 最終的には疾患との関連が明らかになっている遺伝子変異データベースであるDECIPHERを利用し、新規もしくは既知の遺伝子変異かを明らかにする。
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Causes of Carryover |
理由 各種遺伝子資料より核酸を抽出する過程において、いくつかの資料では本解析に耐えうる適正濃度、断片長サイズにならなかったため、資料の再調整が遅れ、濃縮過程が遅れているため、繰り越した。 使用計画 本年度前半には再調整が終了し、濃縮過程とエクソーム解析に使用する予定である。
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[Presentation] Identfication of 16q21 as a modifier locus for orofacial cleft phenotypes2017
Author(s)
E.J. Lesile, J.C.Standley, A.Petrin, J.R.Shaffer, A. Butali, C. J. Buxo, E. Castilla, K. Christensen, F.W.D. Deleyiannis, J.T.Hecht, L.L.Field, A.Garidkhuu, L.M. Moreno-Uribe, N. Nagato, L.M.Orioli, C, Poietta, S.Suzuki, A.R. Vieira, G.L. Wehby, S.M. Weingold, J.C. Murray, M.L. Marazazita
Organizer
The American Society of Human Genetics 2017 Annual Meeting
Int'l Joint Research