2018 Fiscal Year Research-status Report
エクソーム解析による口唇口蓋裂のリスク遺伝子と組織特異的体細胞モザイクの探索
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17K11863
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (30468996)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソーム / 口唇口蓋裂 / モザイク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、体細胞モザイク変異が口唇口蓋裂の発生に関与しているかを明らかにすることである。現在まで、申請者らの共同研究施設で行われた白血球由来のDNAに対する大規模な家系解析研究で100を超える候補遺伝子が同定された。しかしながらその後の確認研究では総サンプル数の約5%のみでしか遺伝子変異を見いだせなかった。この『missing heritability』(失われた遺伝性)は口唇裂部の組織特異的な体細胞モザイクによるものであるとの仮説を検証する。 具体的な研究項目は、1) 白血球由来のDNAに対して高深度エクソーム解析を行う2) 口唇裂部軟組織のDNAに対して高深度エクソーム解析を行う3) 白血球由来のDNAと口唇裂部軟組織のDNAにおける遺伝子変異を比較する、の3つである。 平成30年度はサンプルの解析を主に行った。20名の非症候性両側性口唇口蓋裂に対する手術で得られた血液および唾液由来のDNAと組織由来のDNAを用いて個々のサンプルの遺伝子変異とペアサンプルでの比較を行なっている。現在は得られた遺伝子変異を公開されているデータベースにマッピングを行い、全てのサンプルを別々に解析している。共同研究ではSATB-2遺伝子の異常が口唇口蓋裂のなかでも口蓋裂および歯牙腫の形成に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非症候性の日本人両側性口唇口蓋裂患者20人(末梢血液もしくは唾液20検体および組織20検体)のDNAを解析している。 エクソーム解析ようにアジレントSureselectHuman All Exon kitを用いてDNAを濃縮に成功した。濃縮フラグメンとの大きさ平均は180-280bpであり全てのサンプルに成功した。リードにはHiseq2500(Illumina社)を用いた。エラー率は0.03%であり、クオリティ平均(QC30)は約92%であり解析には十分であった。エクソーム解析のデータは12-18Gbと良好であり、平均読み深さ(sequence depth)は155であった。ターゲット領域のカバー率は99%以上であった。Raw dataをcleaning し、BAM fileを作成しSNVsを解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータに対して下記のような解析を行う。 1)白血球由来DNAのエクソーム解析を行う。 2)組織由来DNAのエクソーム解析を行う。 各同一個体内の解析結果を比較し組織特異的体細胞モザイクの有無を確認し、同定されたモザイク変異のタンパク質が口腔顔面領域に発現しているかをWebのSysFaceを用いて確認する。そして検出した遺伝子変異についてはSIFT, PolyPhen, MutationAssessor, LRT, CADD, ExAC, PolyPhen2等にて影響度を確認する。 最終的には疾患との関連が明らかになっている遺伝子変異データベースであるDECIPHERを利用し、新規もしくは既知の遺伝子変異かを明らかにする。
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Causes of Carryover |
遺伝子資料より核酸を抽出、その後の濃縮にかかる費用が低下したため繰り越した。平成31年度および令和元年においては確認実験および論文発表に使用する予定である。
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[Journal Article] Patients with SATB2-sassociated syndrome exhibiting multiple odontomas2018
Author(s)
Takashi Kikuiri, Hiroyuki Mishima, Hideto Imura, Satoshi Suzuki, Yusuke Matsuzawa, Takashi Nakamura, Satoshi Fukumoto, Yoshitaka Yoshimura, Satoshi Watanabe, Akira Kinoshita, Takahiro Yamada, Masanobu Shindoh, Yoshihiko Sugita, Hatsuhiko Maeda, Yasutaka Yawaka, Tadashi Mikoya, Nagato Natsume, Koh-ichiro Yoshiura
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Journal Title
Am J Med Genet
Volume: 176(12)
Pages: 2614-2622
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 日本人非症候性口唇口蓋裂におけるBMP4遺伝子の一塩基多型(rs4444235)遺伝子多型解析2018
Author(s)
森 明弘, 井村 英人, 鈴木 聡, 吉田 磨弥, 古川 博雄, 新美 照幸, 佐久間 千里, 伊東 雅哲, 南 克浩, 秋山 泰範, 早川 統子, 夏目 長門
Organizer
第42回日本口蓋裂学会総会・学術集会(大阪)