2019 Fiscal Year Research-status Report
唾液メタボローム解析によるがん口腔合併症のリスク因子解明、及び新たな治療法の確立
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17K11867
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
上野 尚雄 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (90450832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上園 保仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20213340)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (30458963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤関連顎骨壊死 / 口腔粘膜炎 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療中の患者の唾液に含まれるメタボロームの特異的変化と口腔合併症の発症リスクとの関連を明らかにするため、1)頭頸がん放射線治療を受ける患者を対象に治療経過に伴う唾液メタボロームの検索の妥当性の評価を行い、唾液採取の適切性や実現可能性を予備的に評価する研究、2)薬剤性顎骨壊死の発症や重症度に特異的に関連する唾液メタボロームを網羅的に探索し、その病態との関連について明らかにする研究を行った。 がん治療中の口腔粘膜炎及び薬剤関連顎骨壊死の「なりやすさ」や「起こり始め」を反映する特異的な微小代謝産物を同定することで、それらが予後予測因子、病態マーカーとしてがん患者のリスクに合わせた適切な口腔管理方法を構築する一助となるか、また合併症の早期診断や治療に有効な因子となるかを考察、解明した。 唾液中のメタボロームの探索は、CE-TOFMS(キャピラリー電気泳動・ 飛行時間型質量分析装置)を用いて、できるだけ幅広い物質を同時に測定してマーカーとなる物質の探索を行ない、候補となる物質がある程度絞れた場合は、将来の実用化に向けてLC-QqQMS(液体クロマトグラフィー・3連四重極型質量分析装置)を用いるなど、狙った物質だけを高速・高感度に測定する方法を検討し、臨床の現場で活用しやすい測定方法の確立を目指した。 結果、がん患者の唾液を検体としたメタボローム解析は、患者への負担少なく実際に対応な妥当性のあるものであり、薬剤関連顎骨壊死を発症した患者群の唾液中濃度において、スクリーニング群の検体では、histamine,3-(4hydroxyphenyl) propionate,malonate,hypotaurineの上昇を認めた。さらにバリデーション群では、hypotaurineが有意な上昇を示した。hypotaurineが薬剤関連顎骨壊死の発症患者に特異的な物質の候補である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた介入の患者エントリー、および検体(唾液)のメタボローム解析は全て終了し、薬剤性顎骨壊死の発症や重症度に特異的に関連する唾液メタボロームを網羅的に探索し、その病態との関連について明らかにする研究に関しては英語論文化も終了した。 しかし班員の産休などにより、頭頸部がん放射線治療を受ける患者の唾液中のメタボロームの経時的な変化と口腔粘膜炎の胃関連についての研究は、解析・論文化の作業が残ってる状況であり、本年度中の論文化を目指し、現在も作業中である。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部がん放射線治療を受ける患者の唾液中のメタボロームの経時的な変化と、治療中の経時的な口腔内状況の変化(清掃状態、粘膜炎の有無と程度、歯性病変(う蝕、歯肉炎 )の有無など)との関連を明らかにする研究の満了を目指す。すでに検体(唾液)のメタボローム解析は全て終了していおり、今後は口腔粘膜炎と唾液中のメタボロームのプロファイルの変化の関連を解析し、英語論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の論文化が遅れており、データの解析費用、論文投稿費用、英文校正費用が必要となったため
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Research Products
(2 results)