2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌における抗腫瘍免疫とリンパ節免疫環境の関連性
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17K11878
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川原 健太 熊本大学, 医学部附属病院, 病院教員 (90732735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 遼司 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (10632458)
菰原 義弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40449921)
中山 秀樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70381001)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌免疫 / 口腔癌 / M1マクロファージ / CD169 / CD8 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫におけるリンパ節の重要性について、リンパ節は感染防御などの免疫反応に関わる重要な臓器であり、リンパ節マクロファージの抗原提示細胞としての重要性が指摘されつつある。他分野の癌のリンパ節において炎症性マクロファージ(M1)のマーカーであるCD169を発現するマクロファージが多い症例ほど癌組織へのCTLが多く、予後が良いと言われている。今回口腔癌においても口腔癌原発巣と転移リンパ節の所属リンパ節の検体を用いて臨床病理学的諸因子との相関性を検討した。口腔癌50症例のリンパ節をCD169で免疫染色したところ、全生存率、癌特異的生存率、無再発生存率においてCD169の発現が高い方が有意に予後が良好であった。つまり所属リンパ節洞マクロファージのCD169発現が腫瘍免疫を反映し予後予測に有用であることが示唆された。またCD169陽性マクロファージと原発腫瘍組織内CD8陽性T細胞浸潤との相関を検討したところ、CD169陽性マクロファージが多いほど、原発巣でのCD8の発現が有意に高いことを確認した。この問題点は、用いた検体が術前治療として化学放射線療法が行われているため、今後はフレッシュな検体(つまり術前治療が行われていない検体)を用いて同様の傾向がでるのかを確認する必要がある。 一方で大腸癌において所属リンパ節洞マクロファージのCD169高発現症例ではPD-L1陽性腫瘍細胞を認めるとともにCD8陽性細胞の浸潤が強い傾向にあるとの報告があるため、口腔癌でも原発腫瘍におけるPD-L1の発現を免疫染色にて確認したところ、PD-L1とCD169の相関関係は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回までの実験において、所属リンパ節洞マクロファージのCD169発現が予後予測への有用性へつながる可能性が認められ、また原発腫瘍におけるCD8の発現とも相関関係を認めており、死細胞抗原をCD169陽性マクロファージが発現し、それをCD8陽性T細胞にクロスプレゼンテーションし癌免疫を誘導している可能性が示唆された。CD169がCD8にダイレクトに作用しているのかインダイレクトに作用しているのかはまだ不明だが、今後はそこをつめていきたいと考えている。一方PD-L1との相関関係は認めなかったが、PD-L1に依存しない別の経路が関与している可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験結果がすべて術前治療として化学放射線療法が関与している症例であるため、今後は術前治療が行われていない症例でも同様の結果が出るかどうかを確認予定である。同様の結果であれば、CD169やCD8が術前治療に依存しないことが確認できるはずである。またCD169ノックアウトマウスを用いて、マウスより樹立した扁平上皮癌を移植し、in vivoにおいてCD169が予後にどのように影響するかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究に使用する物品購入や学会参加費等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)