2018 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between SPARC (osteonectin) and recurrence of malignant tumor
Project/Area Number |
17K11885
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
鈴木 厚子 奥羽大学, 歯学部, 講師 (90405986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 豊信 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (10382756)
高田 訓 奥羽大学, 歯学部, 教授 (40254875)
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SPARC / AP-1 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
SPARCのノックアウトやノックダウンでにおいて骨芽細胞の表現型が弱まり、脂肪細胞の表現型が増強された。株化されたがん細胞において、SPARCの強制発現は、BMP-2やオステオカルシン遺伝子などの発現増加にはつながらなかった。一方でSPARCのノックアウトにおいて、脂肪滴蓄積が増加したが、AP-1活性も増加することが観察された。SPARCの機能的ドメインの一部を欠損させたミュータントを用いin vitroで解析した結果、SPARCとc-Fosの直接的な結合が示唆された。しかしながら、c-Junとの結合は観察されなかった。このことは、恒常的に発現するSPARCは、何らかの機序によって細胞内への移行をして、c-Fosと直接結合することで、AP-1活性を低く維持している可能性を示唆している。一方でSPARCの強制発現は、癌細胞内の脂肪滴蓄積を有意に抑制した。SPARCで唯一N-グリコシル化が起こることが分かっている116番目のアスパラギンをグルタミンに替える変異挿入を行っても、ノックアウト細胞の脂肪滴蓄積レスキューにおいて、野生型との間に有意差を見出さなかった。このことは、SPARCに修飾される糖鎖が脂肪滴蓄積に影響を及ぼさない可能性を示唆する。一部のがん細胞においてSPARCのノックアウトは、PPARαを強く抑制した。しかしRAR,RXRシグナルでは影響が観察されなかったし、また。PPARαとAP-1活性との関連については現在のところ明確な知見が得られていない。旺盛に細胞分裂を行うがん細胞の培地からアミノ酸を欠乏させていくと、シスチンの欠乏が非常に影響が大きかった。SPARCの強制発現はこの影響を増強した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全般に若干の遅れが認められるが、その理由は以下の3点にある。一定濃度以上のがん幹細胞の濃縮と自己複製能の維持が困難であった。アミノ酸欠乏低栄養培地でのがん(幹)細胞の生存確認が想定以上に時間を要した。低栄養状態で維持した細胞の代謝時間と分裂時間の明確な延長が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
シスチン欠乏が細胞生存率を非常に落とした点についてSPARCの発現との関連を、Serine hydroxymethyltransferaseやFructose 2,6-bisphosphataseあるいはシスチントランスポーターと関連の深いCD44vの発現を中心に解析を進める。この過程で、xCT阻害効果によりがん幹細胞の自己複製を抑制することが分かっているSalazosulfapyridineの添加によるSPARCへの影響も検討する。
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Causes of Carryover |
2018年度に予定していたFACSを使用する動物実験の一部と、解析が、ハードウェアの問題で実施できなかった。このために、物品費相当部分の一部に次年度使用が生じた。しかしこの問題は、2019年度内に機器更新により解消する予定である。
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