2019 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between SPARC (osteonectin) and recurrence of malignant tumor
Project/Area Number |
17K11885
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
鈴木 厚子 奥羽大学, 歯学部, 講師 (90405986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 豊信 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (10382756)
高田 訓 奥羽大学, 歯学部, 教授 (40254875)
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SPARC / TRPM5 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスのルイス肺癌細胞であるLLC細胞をがん幹細胞の表面マーカーが増加する酸性条件で、3か月(40回)以上継代培養を行った。すると、Mmp2、Mmp3、Mmp9、Mmp13などの発現が増加した。この細胞は、マウスの尾静脈注入による肺転移を増加させ、Matrigelマトリゲル浸潤活性も高かった。この性質は、通常の条件に戻しても、少なくとも28世代にわたって持続された。もっとも、長期酸性条件の培養は、細胞に線維芽細胞状の形態変化を付与し、Krt5とTransient receptor potential チャネル(TRP)M5の発現が増加した(Clin Exp Metastasis. 2020)。これらの培養条件変化は、SPARC発現変化を伴っていた。そこで、TRPM5を刺激することで、SPARC発現に変化を及ぼすのかを調査する目的で、TRPM5活性を増強するステビオール配糖体を添加し培養を行ったが、ステビオールが直接SPARC発現に及ぼす影響について、現在まで、新たな知見を見いだせていない。また、TRPチャネルの電流誘導するために必要な、細胞内スフィンゴシン濃度の上昇を行った。これも予想に反し、SPARC発現との間に明確な相関が観察されなかった。しかし、酸性環境下でシスチンあるいはケト原生アミノ酸のL- ロイシン、L- イソロイシン、L-リジンを欠乏させると、SPARCノックアウト細胞の生存率に影響を与えていた。反対に、SPARCの過剰発現では、これらのアミノ酸欠乏の影響が非常に少なかった。これらのことはSPARCが、がん細胞/がん幹細胞において、エネルギー代謝と脂質代謝に重要な役割を演じている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅延している理由として次の二点がある。 1.想定に反し、TRPチャンネル活性増強と細胞内スフィンゴシン濃度上昇が、SPARC発現との間に、関連を見出せなかった。 2.2019年度に実施した、一部のアミノ酸欠乏させた低栄養培地でのがん細胞/がん幹細胞の培養馴化と、その影響解析に想定以上の時間を要し、一部の解析が現在未実施となっている。 これらことが、研究全体を遅延させている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に低栄養培地でのがん細胞/がん幹細胞の培養馴化であるが、当初予定の研究終了時(2019年度末)までに、解析が終了しなかったため、研究期間の延長を決定した。2020年度は前記解析と併せて、SPARCの遺伝子の安定性について解析を加えることで、課題遂行に努める予定である。
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Causes of Carryover |
一部解析結果が想定に反した結果であったため、それに続く動物実験が遂行できなかった。 また、2019年度に実施した、実験の一部が想定の期間で終わらなかった。そのため、一部に未実施の解析が残っている。このため、全体として研究が遅延しているため、次年度使用金が発生している。これは、未実施のものと、2020年度実施予定のSPARC遺伝子の安定性試験に使用する予定である。
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