2017 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛徐放型チタン系フレームワークと歯髄幹細胞による顎骨再生療法
Project/Area Number |
17K11896
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
福田 雅幸 秋田大学, 医学部, 准教授(病院教授) (20272049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 裕史 秋田大学, 医学部, 講師 (30282172)
山本 修 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00230540)
遊佐 和之 山形大学, 医学部, その他 (80636960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顎骨再生 / 亜鉛 / チタン / 歯髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:骨の実質欠損を再生医療のみで修復するには限界があり、従来の骨格を再現するフレームワークが必要である。申請者らは、生体内微量元素を応用した次世代型フレームワークの新規開発を目指し、材料周囲に亜鉛イオンを徐放し、間葉系間質細胞を骨芽細胞に分化・増殖を促進させる亜鉛徐放型チタン系(Zn-Ti)フレームワークを作製した。本研究では、未分化間葉細胞の一つである歯髄幹細胞(DPSCs)とZn-Tiフレームワークを用いた新しい顎骨再生療法の開発と臨床応用を目指す。 平成29年度の研究実施計画 1. Zn-Tiフレームワークの作製と歯髄幹細胞の挙動評価 1)Zn-Tiフレームワークの作製:鏡面研磨後のチタン(Ti)ディスク(直径10mm,厚さ1mm)をテトラヒドロキシ亜鉛酸塩含有高アルカリ水溶液に浸漬しZn-Tiフレームワークを作製した。未処理のTiディスクをコントロールとして,それぞれの表面性状を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。また、Zn-Tiからの亜鉛徐放性を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)にて計測した。2)細胞培養:各試料上にDPSCsを播種した後、骨芽細胞誘導培地による分化誘導を行った。3)細胞増殖能の評価:Zn-Tiフレームワークおよびコントロール上にDPSCsを播種し、培養1日目から7日目においてMTS assayにより細胞増殖能を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究結果 1. Zn-Tiフレームワークの作製とDPSCsの挙動評価 1)Zn-Tiフレームワークの作製:Zn-Ti表面にはナノスケールの小孔が確認され、Z-Tiにおいて接触角の低下が認められた。 2)実験7日目までに、Zn-Tiより徐放された亜鉛濃度は3.39±1.18μMであった。 3)DPSCsにおける表面抗原の発現は間葉系幹細胞マーカーであるCD44、CD73陽性、造血幹細胞マーカーであるCD14,CD45陰性であった。コントロールとZ-Tiで細胞増殖に有意な差は認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究実施計画 1. Zn-Tiフレームワークの作製とDPSCsの挙動評価 4)骨芽細胞分化能の評価:Zn-Tiフレームワークおよびコントロール上で培養したDPSCsに関して、培養3日目および7日目のアルカリフォスファターゼ活性を測定する。また、骨芽細胞分化マーカーのmRNA発現をrealtimePCR法で測定する。培養48時間後のSmad1、Smad4、p-Smad1/5/8 のタンパク発現をウエスタンブロットで検索する。また、培養10日目、21日目における基質石灰化をアリザリンレッドS染色で評価する。
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Causes of Carryover |
亜鉛徐放型フレームワークの作製、歯髄幹細胞の培養および細胞増殖能の評価の大半は、研究分担者である山形大学医学部および山形大学大学院理工学研究科で行うことができたため、本学で今年度使用する予算の減額を図ることができた。次年度使用額は,細胞実験の継続と動物実験および実験助手の人件費等に充てる予定である。
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