2020 Fiscal Year Research-status Report
BMP-2遺伝子発現ベクターとRANKL結合ペプチドによる新規骨形成法の開発
Project/Area Number |
17K11900
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 俊三 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (20769468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 まりこ (河井まりこ) 関西女子短期大学, その他部局等, 教授 (40379839)
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40272603)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非ウイルスベクター / 骨形成 / BMP-2/7 遺伝子 / 非侵襲的 / 異所性骨石灰化誘導 / 骨形成促進ペプチド / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
骨形成タンパク(BMP-2)の遺伝子導入は、骨形成のための大量のタンパク投与が必要なく、BMP-2タンパク投与の代替法として期待されている。特にウイルスを用いない非ウイルスベクターによる遺伝子導入は高い安全性を示す。しかし、ウイルスを使った遺伝子導入に比べて、ウイルス無しではBMP-2遺伝子が誘導する骨量はわずかである。 本研究では、この非ウイルスベクターの欠点を補うため、BMP-2遺伝子から骨を誘導する際に骨形成促進ペプチドであるRANKL結合ペプチドを併用すれば骨量増加作用を示すという仮説をたて、明らかにするために研究を進めてきた。 3年目には、非ウイルスベクターを用いてBMP-2を導入して新生された異所性骨石灰化量を、RANKL結合ペプチドの投与により増やすことに成功したが、このとき用いたRANKL結合ペプチドは、浸透圧ポンプにより全身投与したものであった。このためペプチドを局所に投与することにより同様の効果が得られないか以下の様に検討を加えた。エレクトロポレーションによる遺伝子導入後、1日、3日、7日目にRANKL結合ペプチドの局所投与を行った。しかし、すべての条件で、RANKLペプチドを局所投与するかしないか違いにより、異所性骨石灰化量の違いは認められなかった。 ペプチドの徐放担体のみを打ち込んだ際には、RANKL結合ペプチド入りの担体を打ち込むより、さらに多くの骨を誘導したことは以前に報告したとおりであるが、打ち込む時期を変えて検討してもペプチドを全身投与した際に認められた異所性骨石灰化の骨形成促進作用は局所投与では発揮されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RANKL結合ペプチドによる骨形成促進作用により、BMP-2/7を遺伝子導入し誘導された異所性骨石灰化の量を有意に増加させることができた。これは、当初の仮説を実証したことになり、本研究は順調に進展していると考えている。 問題点の一つは、RANKL結合ペプチドを局所投与せず、全身投与で作用させている点であり、今後臨床応用を考えた場合、局所投与で効果を引き出す必要がある。コロナ禍で実験が遅れてしまったこと、また共同研究者の職場異動後の研究環境の整備にも時間がかかり、もう一年延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
BMP2/7導入とBMP2のみ導入による異所性骨石灰化骨の新生量の差を調べてみることにより、今後の研究の方向性を決定する。 また、予備実験において、ラット腓腹筋におけるBMP-2/7の遺伝子導入時に、エレクトロポレーションをおこなう電極の形の違いにより、新生する骨の形が大きく異なることが際されている。
このため、針型とプレート型の電極の違いによる骨誘導の違いに関して調べると共に、RANKL結合ペプチドの局所投与の効果の違いも調べていくことを計画している。針型ではなく、プレート型による骨新生の方がRANKL結合ペプチドの骨形成促進作用を引き出すことができるのではないかと期待している。
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Causes of Carryover |
2つの理由から次年度使用額が生じた。 1)コロナ禍のために、実験がおもうように進まなかったこと 2)研究分担者の異動に伴い、まだ実験ができる環境が整わない という1)と2)の事情が重なったため。 また、使用計画は前述したとおりだが、遺伝子導入をおこなう電極の形を変えた場合の異所性骨のでき方を検討すること。さらに時間が許せば、その際に局所のRANKL結合ペプチド投与により骨形成が増加するかどうかを検討する。
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