2017 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病モデルラットにおける口腔領域の痛覚異常の解明
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17K11905
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丹羽 均 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30218250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 博治 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10711012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 痛覚 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:認知症は高齢者にみられる主要な疾患である。臨床上、認知症患者は自ら口腔領域の不調を訴えることは少ない。一方、口腔ケアや歯科治療などの歯科的介入を強く拒否することも多い。これらの行動が認知症に伴う中核症状やBPSDの現れとも解釈できるが、口腔領域の痛覚に変化が生じている可能性も否定できない。本研究では、アルツハイマー病モデルラット(ADラット)を作製し、痛覚への影響を検討する。 (1)モデルの作製:ADラットはAβ1‐40およびイボテン酸を両側海馬へ注入することで作製する。 (2)モデルの評価方法:認知機能の評価は、空間学習能力を評価するモリスの水迷路及び短期記憶を評価するY字迷路試験を行う。モリスの水迷路では、獲得試行としてプラットフォームを水面下10㎜に設定し、手術日から15日後より1日2試行、7日間連続して行い平均逃避時間を測定する。次に保持試行として最終獲得試行の24時間後にプラットフォームを除去し、プラットフォームを取り除いた状態でラットを泳がせた時のプラットフォーム通過回数で記憶の保持能力を評価する。Y字迷路ではラットをY字のいずれかアームの先端に置き、8分間迷路内を自由に探索させ、進入したアームの回数をカウントし、連続して異なる3本のアームに進入した組み合わせの数(交替行動数)を調べ、交替行動率(%)を算出し、探索した際に認められる自発的交替行動を短期記憶として評価する。すべての行動実験が終了後、ラットの脳をを灌流固定し、神経細胞の脱落とAβの海馬内への沈着を確認する。 (2)痛覚異常の評価:ADモデルラットの左側上口唇に4%ホルムアルデヒド0.05mlを注射し、5分ごとの顔面こすり行動、行動の回復様式を90分観察した。注射より120分後に脳を潅流固定し、免疫組織学的手法を用い、三叉神経脊髄路核でのc-fos発現陽性細胞数を計測する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ADモデルラットの確立 ADモデルラットはアルツハイマー病の原因とされるAβ1‐40、および興奮性アミノ酸のイボテン酸を両側海馬へ注入することで作製した。モリスの水迷路およびY字迷路試験にて認知機能の評価を行ったところ、空間学習及び記憶の障害が認められた。さらに免疫組織化学的にもラットの脳の海馬の神経脱落やAβの蓄積が観察された。したがって、今回用いた方法により、ADモデルラットが確立されたものと考えられる。 (2)口腔領域の痛覚への影響 作製されたADモデルラットの左側口唇に4%ホルムアルデヒド0.05mlを注射し、5分ごとの顔面こすり行動(疼痛関連行動)、行動の回復様式を90分観察した。その後、注射より120分後に潅流固定を行った。60μmごとの凍結切片を作製し、免疫組織学的手法を用い、三叉神経脊髄路核でのc-fos発現陽性細胞数を計測、比較検討を行った。 現在、ホルマリンテストに対する、疼痛関連行動と三叉神経脊髄路核におけるc-fos発現陽性細胞数をADラットとコントロールラットで比較検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、歯科疾患を想定しているため、ADモデルラットの上口唇(眼窩下神経領域)へのホルマリン注射(炎症性の侵害刺激)を行い、痛覚への影響を検討している。今後さらに、口腔顔面領域の触覚に対する影響をフォンフライテストにより検討する。さらに、最終的には全身的な痛覚への影響も検討する必要があると考える。
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Causes of Carryover |
認知機能を評価するためのモリス水迷路の実験装置の納品が7月を過ぎ、そのため実験の開始が遅くなった。そのため研究の全体的な進行に後れを生じ、物品費として約20万円が次年度に繰り越された。次年度はその遅れを取り戻すべく、研究を行っていく予定である。
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