2017 Fiscal Year Research-status Report
Micro-graftを用いた培養操作を介さない骨再生法の確立
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17K11911
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大場 誠悟 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (80363456)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨再生 / ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずはオスの家兎の脛骨に骨欠損を作成し、欠損の適性は大きさを検討した。損の大きさが7mmを越えると骨折をするケースが認められたため、欠損の大きさを6mmに設定した。まずは、欠損部に填入するハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合材の至適サイズを検討することを2017年度の目標とした。使用する材料はブロック状をしているが、液体を吸収することによりスポンジ状となる。そのため、圧を加えて欠損領域に填入することが可能である。しかしながらその際には、本材料の特性である95%の気効率や100-500マイクロメートルの気孔径を破壊する可能性が生じる。これらの本材料の特性は、骨を欠損部に旺盛に早期に治癒させることが重要と考えられている。そこで、6mmの欠損領域にほぼそのままの形態で填入できる5x5x5mmのサイズを中心に、3x3x5mm、7x5x5mmの大きさに採型したものを填入した。 ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体の移植手術後、2, 4, 8週間で屠殺し、欠損領域の評価を行った。欠損部の皮質骨の連続性は、補填材料のない群では術後8週であっても1.5mm程度残存していた。一方で補填材料を使用した群ではいずれも皮質骨の連続性は得られていた。この連続した皮質骨の厚さは、、欠損を付与していない箇所では1.1mmであり、5x5x5mmおよび7x5x5mmの材料を補填した群ではそれぞれ1.1mm、1.0mmであった。これに対して3x5x5mmの群では0.5mmであった。骨髄内の不透過像を評価したところ、移植後8週間では、5x5x5mmの補填を行った群では有意差は認めないものの、3x3x5mm、7x5x5mmを移植した群に対して、少ない傾向にあった。すなわち十分なリモデリングが行われていることが示唆された。以上の結果から、欠損領域は6mm、補填材料は5x5x5mmで今後の検討を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進行順序が前後している箇所があるものの、全体としては予定通りの進行状況となっている。欠損の大きさおよび材料の特性を考慮すると、まずは適正な欠損の大きさと填入する補填材料の大きさを決定する必要性があった。
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Strategy for Future Research Activity |
欠損の大きさと使用する材料の大きさが決定したため、2018年度はmicro-graftを材料に添加した上で同様に骨の治癒状態を評価する。それに先立ち、家兎の歯髄、骨膜、歯肉から組織を採取し、細片化する。out-growthし、細胞の特性を検討する。また本細胞にleptinあるいはwntあるいは両方を添付し、もっともアルカリフォスファターゼ活性を上昇させる組み合わせを見つける。過去の結果からおおよその至適濃度は推測されるため(leptinは100 nM、wntは100 ng/ml)、この濃度を中心にして、いくつかの濃度の組み合わせで最適な濃度を決定する。 2019年度には再度動物移植実験に戻り、2018年度の結果決定した組み合わせで骨欠損部に填入する。移植材料にはmicro-graftを補填材に取り込ませた上で、欠損部に移植する。leptinおよびwntは徐放性のハイドロゲル内に取り込ませた上で、移植材料を被覆する。骨治癒の著明な亢進が認められない場合には、移植まえに補填材にleptinを吸着させておき、移植と同時にその周囲の骨芽細胞のwnt receptoの発現を誘導しておくように工夫する。予備実験では、leptinは骨芽細胞に作用し、wnt receptorであるfrixxledおよびLRPの発現を誘導することが確認できている。 これらの研究成果は、目的である「培養操作を必要としない効果的な骨再生」を可能にする方法を確立する一助となるはずである。
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Causes of Carryover |
2018年度に使用する予定であったmicro-graftの使用を、2019年度に変更したため。未使用分は2019年度の研究予定のmicro-graft作成費用にまわした。
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Research Products
(1 results)