2017 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation method of gummy jelly for testing comprehensively evaluating chewing swallowing movement after mandibular bone reconstruction
Project/Area Number |
17K11926
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中島 世市郎 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10720691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 高裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
大森 実知 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60803137)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 検査用グミゼリー / 下顎骨再建 / 嚥下 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎骨区域切除後に行われる下顎骨再建手術は、口腔から咽頭にかけた広汎な組織を再建するため、咀嚼・嚥下機能が著しく低下する。この咀嚼・嚥下機能についての評価は、これまでそれぞれを個別の運動として評価し診断する方法が報告されているが、咀嚼・嚥下を一連の機能として評価する診断法はいまだなされていない。 本研究では、咀嚼から嚥下にいたる一連の機能を同一試料(グミゼリー)により測定・評価する新たな検査法を確立することを目的とし、試料となるグミゼリーの開発とその評価法を検討する。 平成29年度は「グミゼリーによる嚥下機能測定の適正化」「グミゼリーによる嚥下機能測定に適切な評価方法」について研究をおこなった。 研究は、グミゼリーを用いた嚥下運動をファイバーにて観察し評価が可能か測定し、グミゼリーを用いた嚥下機能測定は可能であることが明らかになった。これをを基に顎骨骨折後の治療評価としてグミゼリーを用いた咀嚼・嚥下機能測定を行い、口腔機能の低下した患者に有用な評価法であることを明らかにした。また下顎再建後の患者において、従来の問診では日常の食生活において嚥下運動は問題がないとされるケースにおいて、本評価法による検査で嚥下に問題があることが判明した症例がみられた。これは本研究により再建後の嚥下機能測定の新規開発が期待できる成果と考えられた。そして試験的に本研究手法を用いた咀嚼嚥下機能評価を取り入れた頭頸部がん術後の評価を行った。その結果、従来の術後評価と比較すると、患者のQOLをより正確に反映するものであることが示唆されたた。本年度における研究結果は、頭頸部癌術後患者に対する新たな評価法に繋がる成果を得たと考える。 本研究結果については、日本口腔外科学会および日本口腔科学会、Hard Tissue Regenerative Biologyにおいて学会発表および著書化、論文化し公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究予定は、検査用グミゼリーを用いた咀嚼・嚥下機能測定によるデータ収集とデータベースの構築を予定していた。データ収集は現在も行っているが、頭頸部癌術後の機能評価として検査用グミゼリーを用いた咀嚼嚥下機能測定について新たな知見を得ることができ、学会発表による公表を行った(中島世市郎、他9名.下顎骨再建後の咀嚼嚥下運動を評価する検査用グミゼリーの開発と評価法の検討.第62回(公社)日本口腔外科学会学術大会.京都市・2017.10)。また、咀嚼機能の低下した患者における咀嚼・嚥下機能評価を行い論文化し公表した(Tomoyoshi Hayase, Yoichiro Nakajima, et al. Intermaxillary Fixation of Mandibular Fractures using a Bilayer Thermofoming Plate. Juonal of Hard Tissue Biology. 26(3):301-304, 2017.)。さらに、口腔がん術後の機能評価として、検査用グミゼリーを用いた嚥下機能観察が新たな術後機能評価として有用であることを明らかにし、著書として公表した(Yoichiro Nakajima, Michi Omori, et al. Evaluation method of malignant fibrous histiocytoma treatment using test gummy jelly. Oral Science ina Japan 2017; 2018: 9-12.)。このため平成30年度に予定してた論文投稿を行うため、平成30年度の研究予算を前倒し請求し、成果報告を行った。 このように、本研究の進捗状況は当初予定より研究結果が出ており計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔がんの診断にて下顎骨再建手術後と下顎骨再建術を予定されている患者20名を対象に、複合色グミゼリーを用いた咀嚼能率(粉砕能力)と嚥下機能評価を行う。顎骨切除分類はA:半側切除 B:区域切除 C:正中切除 D:下顎2/3以上の切除とする。咀嚼能力・嚥下機能・咬合力の評価は1-5の5段階でそれぞれを評価する。咀嚼機能検査は、一定回数咀嚼後に咀嚼した検査食品を口腔外に吐き出し、粉砕度を観察する事でスコア判定する。また嚥下機能評価も、グミゼリーを嚥下可能な状態まで咀嚼し嚥下させ、その様子からVFまたはVEで観察し評価する。これらを咀嚼・嚥下機能について連続して行うためにグミゼリーを複合色にして経鼻咽頭ファイバーにて2色の分布状態で判断する。 観察結果をデータベース化し、下顎骨再建後の患者の評価に適した配合色、硬度、質感の検討を行う。下顎骨再建後患者の咀嚼・嚥下観察に際して求められるグミゼリーの要件は、申請者がこれまで高齢者の嚥下観察時に独自開発した手法を応用し、本研究の実現性は極めて高いと想定している。具体的には、①嚥下の観察に適した白色を基調とする配合色(緑/白、オレンジ/白、黒/白、青/白)や②硬度(口腔癌術後は無歯顎患者と同様に咬合が困難)、③質感(高齢者は嚥下が容易なように、とろみをつける食品が多いことからも、嚥下には質感の工夫が必要)などの工夫を本研究において活用し、下顎骨再建後患者の咀嚼・嚥下観察に適したグミゼリーの開発を行う。開発したグミゼリーを用いた咀嚼・嚥下を一連とした運動機能評価をデータベース化し、下顎骨再建の各分類に従い、下顎骨再建術後の患者の新規口腔機能の指標について検討し論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の研究予定は、データ収集とデータベースの構築を予定していたが、当初予定よりも研究が進み、新たな知見を得た。 そこで、平成30年度に予定した公表を平成29年度に行った。発表は学会発表(中島世市郎、他9名.下顎骨再建後の咀嚼嚥下運動を評価する検査用グミゼリーの開発と評価法の検討.第62回(公社)日本口腔外科学会学術大会.京都市・2017.10)、論文(Tomoyoshi Hayase, Yoichiro Nakajima, et al. Intermaxillary Fixation of Mandibular Fractures using a Bilayer Thermofoming Plate. Juonal of Hard Tissue Biology. 26(3):301-304, 2017.)、著書(Yoichiro Nakajima, Michi Omori, et al. Evaluation method of malignant fibrous histiocytoma treatment using test gummy jelly. Oral Science in Japan 2017; 2018: 9-12.)として公表した。 平成30年度の研究予定を前倒ししており、当該年度の研究に支障はないと判断している。
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